1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子 ガンシクロビルによる膀胱癌遺伝子治療
Project/Area Number |
07557364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
秋元 成太 日本医科大学, 医学部, 教授 (50089752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 宏之 日本医科大学, 医学部, 助手 (80271344)
鈴木 聡 日本医科大学, 医学部, 助手 (70246940)
寺島 保典 日本医科大学, 医学部, 講師 (80207480)
島田 隆 日本医科大学, 医学部, 教授 (20125074)
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Keywords | 膀胱癌 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は膀胱腫瘍に対し、膀胱内注入による有効な遺伝子治療の確立にある。このためには、遺伝子導入に際しての腫瘍細胞へのターゲッティングが大きく問題となる。そこで我々はラット膀胱腫瘍モデルを用いて、アデノウイルスベクター膀胱内注入によるin vivoでの遺伝子治療について検討を続けている。F344雌性ラットに0.05%BBN(N-Buty1-N-(4-hydroxybuty)nitrosamine)をを8週間自由飲水させ膀胱腫瘍を誘発した。導入効率の検討では、遺伝子としてE.coli β-galactosidase(β-gal)遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクター5X108pfu/0.5mlを経尿道的に膀胱内注入し、48時間後に膀胱を摘出しX-gal染色を施行した。治療実験としては、自殺遺伝子として知られるHSV-TK遺伝子を用いGCV投与による治療効果を組織学的に検討した。その結果、正常膀胱粘膜と比較して高率に腫瘍組織への遺伝子導入が確認された。X-gal染色により青染された細胞は腫瘍表面と腫瘍内部において認められた。一方正常粘膜面では青染部分は散在性で膀胱上皮のみに留まっており、炎症所見も極軽度であった。治療実験では腫瘍細胞に空胞化、液状変性を認めた症例があり、更に詳細に検討している。発癌モデルを用いた遺伝子治療の基礎実験の報告は少なく、さらにin vivoでのウイルスベクター直接投与による癌細胞への遺伝子ターゲッティングについてはほとんど報告されていない。我々はアデノウイスルベクター膀注により、膀胱腫瘍への有意な遺伝子導入を確認した。これは今まで報告されていない新しい知見である。メカニズムとして遺伝子導入腫瘍細胞におけるアデノウイルスレセプターの高発現、あるいは腫瘍表面の組織構築が膀胱上皮に較べ粗であるためにアデノウイルスベクターが腫瘍内部まで浸透した可能性が考えられ現在検討を行っている。
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