1996 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性リコンビナント抗サイトカイン抗体の作成法に関する研究
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07557375
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Research Institution | Institute of Clinical Medicine, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博史 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (00179243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 政幸 中外製薬(株), 探索研究所, 研究主査
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Keywords | ファージディスプレイ法 / リコンビナント抗体 / サイトカイン / 抗体工学 |
Research Abstract |
抗IL-1α抗体高値の患者リンパ球より、ファージディスプレイ法でリコンビナントFabの作成を行った。今回もビオチン化IL-1αを溶液中でFabファージライブラリーと反応させ、IL-1αに結合したFabファージを固相化アビジンで捕捉する方法で抗IL-1αFabファージをクローン化した。こうして作成した可溶性FabのIL-1αへの結合能は様々であり、最も良く結合するものでも以前single-chain Fvで作成したのと大差なく、低親和性で中和活性は示さなかった。数クローンについて塩基配列を決定したところ、驚くことに同じ配列の抗体遺伝子をもつにもかかわらず、IL-1αに結合するもの、しないものがあることが判明した。この結果は、可溶性Fabの産生過程でmis-foldingが起こり、抗体活性が失われる可能性を示唆する。この点を明らかにするため、モノクローナル抗DNA抗体産生細胞株(NE-1)よりファージディスプレイ法で可溶性リコンビナントFabを作成し、個々のFabのDNA結合能と抗体遺伝子の配列を調べた。その結果、抗IL-1α抗体と同様、同一の抗体遺伝子を持つにもかかわらず、この方法で作られた可溶性Fabの各クローンにDNA結合性を持たないものが数多く存在することがわかり、mis-foldingが実際起こっていることが確認された(これらの産生された分子は重鎖、軽鎖の複合体構造にはなっていることは確認している)。一方、ファージ表面にFabとして発現させたFab-ファージはいずれのクローンもDNA結合性を示した。以上の結果は、Fabがファージ表面での発現では、安定的に抗体活性を示すのに、可溶性Fabにすると抗体活性が失われやすいという、ファージディスプレイ法の新たな特徴が判明した。こうした実験結果より、リコンビナントFabの抗体の特異性、親和性はファージに発現した状態で安定的に測定できることがわかったので、IL-1αに結合するFab-ファージ抗体を、可溶性Fabにしない状態で特異性、親和性の測定を行った。その結果、IL-1αに対する親和系数は可溶性Fabよりはるかに高いことがわかった。以上の実験結果より、高親和性の抗体を発現したファージから抗体V遺伝子(重鎖、軽鎖)を分離し、キメラ抗体を作成する手法で抗サイトカイン抗体を作成する現実的可能性が開けた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroyuki Takemura: "Ehhanced response to platelet-derived growth faitor (PDGF) in IL-6 production by cultured fibrohlasts from patients with systemil scleresis" Artbritis and Rheumatism. 39・9(Suppl). S234- (1996)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Charactenization of recomninant anti-SS-A autcantibcdies derived from infiltrating lymphocytes in salivary glands of sjogrens syndrome." Artbritis and Rheumatism. 39・9号(Suppl). S287- (1996)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Interleukin-1 receptor antagcnist gene pelymorphism and systemic lupus erytnematosus in Japanese patients" Artbritis and Rheumatism. (印刷中). (1997)
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[Publications] Hiroshi Suzuki: "Molecular cloning 4 anti-SS-A/Ro 60-Kd peptide Fab fragments from infiltrating salivary gland lymphocytes of a patient with sjogren's syndrome" Bichem.Biophys.Res.Commun.(印刷中). (1997)