1996 Fiscal Year Annual Research Report
非観血的筋線維組成測定装置の開発とスポーツ科学への応用
Project/Area Number |
07558005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
勝田 茂 筑波大学, 体育科学系, 教授 (70038446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲木 光晴 筑波大学, 体育科学系, 助手 (20261787)
大森 肇 筑波大学, 体育科学系, 講師 (20223969)
保坂 栄弘 (株)日本光電工業, R&Dセンター, 所長
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Keywords | 筋線維組成 / 筋活動電位伝導速度 / 多点電極 / 等尺性最大筋力 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は,筋線維の伝導速度から筋線維組成を推定することのできる装置を開発し,これを各種スポーツにおけるタレント発掘に役立てることであった。 昨年度は,筋線維伝導速度から筋線維組成が推定可能かどうかを再確認するために,等尺性最大膝伸展筋力発揮時の筋線維伝導速度(MFCV)と筋線維組成(%FT線維)との関係を検討した。その結果,両者の間には統計的に有意な相関関係は認められなかった。しかしながら,被検者を%FT線維が高い群と中庸群とにグループ分けをすると,前者は後者より有意に速いMFCVを示した。これらの結果は,MFCVによる正確な推定は困難であるが,速筋型,中庸型,遅筋型などの大まかな分類にはMFCVが利用できる可能性のあることを示唆している。 本年度においては,昨年度MFCVと%FT線維との間に統計的に有意な相関関係が認められなかった原因のひとつとして,MFCVの個人内分散の大きさに着目し,それをもたらす要因について検討した。その結果,電極の装着部位の皮下脂肪厚とMFCVの変動係数との間に有意な正の相関関係が認められ,電極の装着部位に皮下脂肪が厚いほど,MFCVの測定値の再現性が悪くなる可能性のあることが示唆された。皮下脂肪厚は身体活動レベルや性差などによって大きく異なり,ヘテロな集団を対象とする場合,わずか1回だけのMFCVの測定では,真に近いMFCVを得ることは困難であると考えられる。このような理由から,MFCVを用いて筋線維組成を推定することには限界があると考えられる。 以上の研究成果だけからでは,基礎的データがあまりにも少ないために,精度の高い筋線維組成の推定式を得ることができず,筋線維組成の測定装置を作成するまでには至らなかった。今後,筋線維組成の推定式において独立変数となりうるパラメーターならびにその再現性についてのさらなる検討が必要である。
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