1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト組織置換マウスを用いたヒト臓器機能と治療研究システムの開発
Project/Area Number |
07558078
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Section | 試験 |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗下 昭弘 プロクター, アンド・ギャンブル極東(株)科学技術本部毒性安全科, 主任研究員
本行 忠志 大阪大学, 医学部, 助手 (90271569)
中島 裕夫 大阪大学, 医学部, 助手 (20237275)
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Keywords | ヒト組織置換マウス / 改良型SCIDマウス / ヒト臓器形態機能研究 / ヒト臓器障害研究 / ヒト疾患治療モデル / ヒト甲状腺機能 / ヒト皮膚日光過敏症テスト |
Research Abstract |
正常ヒト臓器の発生、分化、機能、およびその異常に関する研究は、人体実験が不可能であるため、極めて制限されたなかでしか成され得なかった。しかし、T、B両細胞機能のみならずNK活性およびマクロファージ活性も欠如した重度複合免疫不全(SCID ; Severe Combined Immunodeficiency)マウスの作製に成功したため、ヒト良性腫瘍、ヒト異形組織のみならず、ヒト正常組織が全て生着し、2年以上にわらり、マウスの世代を越えて継代・維持ができるようになった。即ち、ヒト組織で一部置換したマウスを完成させた。本研究は、改良型SCIDマウスの量産体制の確立、移植ヒト正常組織の形態および生理機能、移植ヒト臓器組織の薬物、環境有害物質等への反応と実験的治療について研究し、広く医学研究のために供する。 1.ヒト臓器(骨髄、皮膚、甲状腺、大腸、胃、肝、肺、胎児組織など)を改良SCIDマウスに移植し、2〜3年にわたり継代維持を行い、形態と生理機能(代謝、ホルモン分泌など)について調べた。特に、甲状腺は、TSH(甲状腺刺激ホルモン)を連続投与することにより、長期間、形態、機能が維持された。Na^<125>I投与により、大量に^<125>Iが移植ヒト甲状腺に取り込まれており、機能を維持していることが証明できた。 2.正常ヒト皮膚置換マウスを用いた毒性および治療実験:最も観察の容易なヒト正常皮膚を用いて実験を行った。ヒト正常皮膚に太陽紫外線に類似したB領域紫外線(288〜320nm)を毎日2000J/m^2(大阪近辺で真夏の正午頃、浜辺にて1時間浴びる量)以上を照射したところ、20万J/m^2を超えると、日焼けが発生し、やがて約75%に日光皮膚ケラトーシスが発生した。また、日焼け発生には、大きな個人差があり、遺伝的にUVB感受性が異なることを示している。現在、円形脱毛症、乾癬等の皮膚疾患患者の病巣部皮膚を移植し、ヒトリンパ球等による治療実験を開始した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nomura,T.,et al.: "Cytogenotoxicities of sublimed urethane gas to the mouse embryo." Mutat.Res.368. 59-64 (1996)
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[Publications] Yamaguchi,Y.,et al.: "Standardization of an irradiation field using ^<60>Co and ^<137>Cs sources" International Congress on Radiation Protection,Proceeding. 4. 212-214 (1996)
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[Publications] Toda,T.,et al.: "Simularity between the Drosophila (6-4) photolyase,a Human Homolog,and the DNA Photolyase/Blue Light Photoreceptor Family." Science. 272. 109-112 (1996)
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[Publications] Kawaguchi,T.,et al.: "Consecutive maintenance of human solitary and hereditary colorectal polyps in SCID mice." Cancer Detection and Prevention. (印刷中). (1996)
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[Publications] Nomura,T.,et al.: "Comparative study on germ cell mumtation induced by urethane (ethyl carbamate) gas and X-rays in Drosophila melanogaster." Japanese J.Cancer Res.88(印刷中). (1997)
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[Publications] Naka,N.,et al.: "Mutation of p53 tumor suppressor gene in angiosarcoma." Intl.J.Cancer. (印刷中). (1997)