1997 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌を用いる有機性有害物質汚染水及び汚染土壌の浄化方法の開発に関する研究
Project/Area Number |
07558086
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
越川 博元 京都大学, 工学研究科, 助手 (70273480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金谷 健 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (60150158)
清水 芳久 京都大学, 工学部, 助教授 (20226260)
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Keywords | 白色腐朽菌 / Phanerochaete chrysosporium / リグニン分解酵素 / アゾ染料 / 生育用培地 / 酵素生産用培地 |
Research Abstract |
本研究課題は、近年問題になってきている有機性有害物質、難分解性有機物質を広範囲に分解できるリグニン分解菌の一種(Phanerochaete chrysosporium)を取り上げ、同菌の汚染水及び汚染土壌への適用に関する基礎的かつ工学的な検討を行うことを目的としている。このため、本研究課題ではP.chrysosporiumによる分解条件と分解特性、および分解生成物と分解機構について検討することにより同菌利用の基礎を確立することが重要である。 本年度においてはP.chrysosporiumが生産し分解の主体であるリグニンペルオキシダーゼ(LiP)のより効率的な生産方法に関して研究をおこなった。同菌は生育後、炭素源欠乏状態においてLiPを生産するという特性を有する。このため、従来は生育用の培地でLiPを生産させることが常識であった。本研究では生育用培地とは別にLiP生産用培地を設定し、それぞれに適切な条件を設定することでより効率的なLiPの生産への可能性を示した。 その結果、ベラトリルアルコール(VA)の添加時期はLiP活性発現の時期に影響を及ぼすが、LiP活性発現に関与するVAの添加は生育途中の菌にとって重要であるのに対して、ある程度生育した菌に対してはむしろ炭素源がその発現に必要な因子であることなどがわかった。 現在は同菌あるいはそれが産するリグニン分解酵素による分解生成物および分解機構について検討を開始している。難分解性であるアゾ染料を対象基質として選択し、同菌によって分解される過程で発生する分解生成物の同定をNMR(核磁気共鳴装置)などを用いて試みている。
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