1997 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位プローブの高感度化と2波長差分イメージング法による脳機能計測システムの開発
Project/Area Number |
07558097
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Research Institution | The institute of Physical and Chemical research (RIKEN) |
Principal Investigator |
谷藤 学 理化学研究所, 脳統合機能研究チーム, チームリーダー(研究職) (60197530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 悟 三菱電機(株), 先端技術総合研究所・環境システム技術部, 部長
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Keywords | 電位感受性色素 / 光計測 / オプティカルイメージング / 内因性信号 |
Research Abstract |
本研究では、電位感受性色素を用いた膜電位の光学記録と生きた動物の脳表面からの神経活動関連信号のイメージング技術の確立を行なった。電位感受性色素の計測では、主に、大脳皮質や海馬の脳切片標本を用いて技術の確立と適用可能性を検討した。その結果、(1)電位感受性色素による光信号は、シナプス電位を主に反映し通常の細胞外記録で計測される活動電位とは時間経過など性質が異なること、(2)これを用いることによって神経回路を伝わる興奮の様子を可視化できることを明らかにした。特にこれまで解剖学的研究からは明らかにできなかった神経回路を見出したことは有意義である。また、エネルギー移動法を利用した新しい色素の合成を行ない、現在、その性質を検討中である。 本研究の最終的な目標は、生きた動物からの神経活動のイメージングである。そのためには生きた動物の脳表面を露出し良い状態で維持するための技術が必須である。我々はその技術を開発した。脳表面の状態の評価には、ヘモグロビンの酸化還元によって引き起こされる内因性信号のイメージングを用いた。神経活動は酸化ヘモグロビンの還元を引き起こすので、その領域の神経活動に伴った信号が検出できる。本研究で手法を確立し、それによって視覚刺激を麻酔下のサルに視覚刺激を提示したときに引き起こされる側頭葉連合野の機能構造を可視化することができた。電位感受性色素による計測を現在試みている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tanifuji,Manabu: "Optical Imaging of functional organization in the monkey inferotemporal cortex." science. 272. 1665-1668 (1966)
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[Publications] Tanifuji,Manabu: "Optical responses evoked by white matter stimulation in rat visual cortical slices and their relation to neural activities." Brain Research.738. 83-95 (1996)
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[Publications] Tanifuji,Manabu: "Imaging a computational process in the visual cortex." Neural Networks. 9. 1351-1356 (1996)
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[Publications] 谷藤学: "大脳皮質における神経興奮伝播の解析-電位感受性色素を用いた神経活動のイメージング-." 生物物理. 203. 25-29 (1996)
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[Publications] Tanifuji,Manabu: "Delayed signal propagation via CA2 in rat hippocampal slices revealed by optical recording." J.Neurophysiology. 78. 1662-1668 (1997)
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[Publications] 谷藤学: "細胞膜電位のイメージング-神経回路を伝わる信号伝播様式を探る-" 応用物理. 66. 1120-1121 (1997)
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[Publications] 谷藤学: "バイオイメージング(シリーズ、ニューバイオフィジックス(7))" 共立出版(株), 266 (1998)