1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07558115
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山村 研一 熊本大学, 医学部, 教授 (90115197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森安 眞津子 (株)パナファームラボラトリーズ安全性研究所, 研究員
浦野 徹 熊本大学, 医学部, 助教授 (90101899)
鈴木 操 熊本大学, 医学部, 助教授 (60253720)
相沢 慎一 熊本大学, 医学部, 教授 (60073011)
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Keywords | ES細胞 / 遺伝子トラップ / 組換え / 胚様体 |
Research Abstract |
遺伝子トラップ法による変異マウス作製において、欠点の一つはトラップの結果完全破壊はできても小さな変異を導入できないことである。バクテリオファージのCre-loxPシステムは、ファージの中では挿入と削除の反応が起こるが、ほ乳類細胞では通常loxPの挟まれた中間のDNAの削除しか利用できない。そこで、いったんDNAが挿入されれば削除できないような変異型loxPを用いれば、挿入も可能と考えられた。これを確認するため、左の反復配列に変異を導入したlox77をあらかじめES細胞にに導入しておき、そこに右の反復配列に変異を導入したlox66と挿入したい遺伝子を持つプラスミドをCreとともに電気穿孔した。loxPを介して組込まれたのなら、変異型lox-遺伝子-正常loxPとなり、変異型と正常loxPの間ではもはや組換えが起こらないことを予想したが、そのとおりであることが判った。約10%の細胞は組込まれたままであること、したがって変異型loxPにより遺伝子を挿入できることが判った。そこで、この変異型lox71をトラップベクターに利用することとした。これにより、トラップ後に、任意の遺伝子を挿入でき、小さな変異のみならあらゆる遺伝子をその部位に挿入できると期待された。従来のトラップベクターによる遺伝子トラップにより、内在性遺伝子を単離し解析したところ、約4割が既知の遺伝子へ、4割がESTのデータベースに出ているものと相同性を有すること、残り2割が全く未知であることがわかった。これた未知のDNAであっても、発現パターンは特異性があるところから、遺伝子へトラップした可能性が高いと考えられる。以上から、胚葉体形成というスクリーニング系を用い、loxPを応用したトラップベクターを用いることにより、より効率的に遺伝子破壊マウスを作製し、かつ破壊した遺伝子を容易に単離し、その発現パターンを解析できることがわかった。今後、多数の変異マウス作製を試みる予定である。
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[Publications] Araki, K. et al.: "Targeted integration of DNA using mutant lox sites in embryonic stem cells." Nucleic Acid Res.25. 868-872 (1997)
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[Publications] Kimura, S. et al.: "2.1 kb 5'-flanking region of the brain type dystrophin gene directs the expression of lacZ in the cerebral cortex, but not in the hippocampus." J. Neurol. Sci.147. 13-20 (1997)
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[Publications] Araki, K. et al.: "Efficinecy of recombination by Cre transient expression in embryonic stem cells : comparison of various promoters." J. Biochem.122. 977-982 (1997)
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[Publications] Sekimoto, T. et al.: "Region specific expression of murine Hox genes implies the Hox code-mediated patterning of the digestive tract." Genes to Cells.(in press). (1998)