1996 Fiscal Year Annual Research Report
低融点ガラス材料を用いたチタン金属への生体活性の付与
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07558127
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早川 聡 岡山大学, 工学部, 助手 (20263618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 雅樹 日本シャーウッド(株), 研究開発センター, 課長(研究職)
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 教授 (20033409)
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Keywords | 低融点ガラス / チタン金属 / 生体活性 / 熱膨脹係数 / コーティング / アパタイト / 生体組織適合性 |
Research Abstract |
軟化点が低く線熱膨脹係数がTi金属にほぼ等しい45CaO33SiO_222B_2O_3ガラスを琺瑯用生体活性ガラス試料としてTi金属表面にコーティング後、擬似体液を用いたIn vitro試験により生体活性を検討した。コーテイング用の釉薬にはエタノールを溶媒としたスラリーが最適であり、熱処理条件を種々変化させることによって、琺瑯ガラス表面形態が異なるSEM写真及び薄膜X線回折の結果を得た。^<29>Siおよび^<11>BMAS-NMRによると、[SiO]_2CaおよびSi-O-BO_3なる結合が構造中に存在し、擬似体液との反応によりBが溶け出してQ^3(O_<3/2>Si-OH)が表面に形成し、アパタイト形成に有利なシリカゲル層の形成を誘起することがわかった。コーティング用の釉薬のガラス含有量を変えることによって膜厚を変化させることができた。一方、コーティング試料をTi金属の相転移温度付近で、加熱処理することによって結晶化促進後、薄膜X線回折により試料表面の結晶相の同定を行った結果、CaSiO_3とCa_2B_2O_5相が形成することがわかった。このコーティング膜は、生理食塩水に浸漬すると不安定で剥がれやすいことから、コーティング膜とTi金属とは非晶質相により安定に接着していると考えられる。不均一にコーティングされると膜表面に気泡の残存が観察され、膜厚を変化させることによって気泡の分布及び残存量が変化することから、焼成中の温度分布を均一にすることが重要であることがわかった。以上から基本組成として45CaO33SiO_222B_2O_3ガラスを選択し、エタノールを溶媒としたスラリーをコーティング用の釉薬として用いれば、Ti金属へ生体活性を付与できることがわかった。家兎に対する本材料のIn vivo実験効果によれば、臨床応用のためには、膜からのBの溶出を抑制して生体組織適合性を向上させる必要がある。
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