1996 Fiscal Year Annual Research Report
硝酸還元アンモニア産生能をもつ通性嫌気性土壌細菌の性状とその応用
Project/Area Number |
07558207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西原 力 大阪大学, 薬学部, 教授 (50028859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 淳一 大阪大学, 薬学部, 助手 (90218131)
長田 茂宏 大阪大学, 薬学部, 助手 (40263305)
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Keywords | 酸性雨 / 土壌細菌 / 中和機構 / 硝酸還元 / アンモニア産生 / 弱酸性耐性 / 通性嫌気性菌 |
Research Abstract |
自然環境は、環境の変化に対して元の状態に回復しようとする能力をもっている。酸性化に対しても同様で、その主役は環境中に生息する酸性化に抵抗するような微生物を含めた多種多様な微生物である。これらの微生物は、生物圏における有機化合物の第一分解者である、世代時間が短いことから、環境の変化に最も迅速に対応していると考えられる。そこで、土壌酸性化に対する土壌細菌の対応機構の一つとして中和機構を想定し、弱酸性条件下で硝酸・亜硝酸を還元してアンモニアを産生する弱酸性耐性細菌の検出を試み、その存在を確認するとともに単離に成功した。すなわち、硝酸を単一窒素源とした培地および培養条件を確立したのち、大阪府下の山林土壌・畑土壌・河川底質サンプルから硝酸酸性(pH4)培地上で嫌気性条件下に生育できる細菌を49株単離し、そのうち25株が硝酸を還元し、アンモニアを産生することを確認した。これらの菌株のうち硝酸還元、アンモニア産生、増殖の能力の高い3菌株(N203、N104、Y003)を選定し、細菌学的性状を検討した。その結果、N203株はClostridium属、N104とY003株はAeromonas属と分類された。また、硝酸を単一窒素源とした培地では3株ともpH3およびpH8、10ではあまり増殖できなかったが、pH4から中性付近に増殖の極大値がみられ、培養液のpHも上昇した。さらに、これらの菌株はアンモニア共存下でも硝酸還元能を示した。Aeromonas属の2株のこれらの能力は土壌成分によってもそれほど影響されなかった。 以上から、土壌中には酸性化に対応する細菌が存在し、それらを土壌酸性化対策として利用できる可能性が示された。
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