1996 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品開発を指向した海洋産マクロリドの立体化学の解明と分子設計
Project/Area Number |
07558208
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Section | 試験 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石橋 正己 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90212927)
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Keywords | 海洋天然物 / マクロリド / 渦鞭毛藻 / 海綿 / 立体化学 / 不斉炭素 / 合成 / 構造解析 |
Research Abstract |
当研究室でこれまでに海洋生物から分離したマクロリド化合物には興味深い生物活性を有するものが多いが、その立体化学が解明できているものは限られている。これらマクロリド化合物を医薬品開発のリ-ド化合物としてさらに発展させるには、天然物の立体化学の解明が必須である。本研究では、海綿Theonella sp.より分離したテオネゾリドAならびに渦鞭毛藻Amphidinium sp.由来のアンフィジノリド類を対象として,各々に含まれる不斉炭素の立体化学の解明に関する研究を以下の通り行った。テオネゾリドAのC-4〜C-17フラグメントに関して、昨年度の研究により、このフラグメントにふくまれる2組の1, 3-ジオールはいずれもsyn配置であることが推定された。本年度はこの結果に基づき、本フラグメントの立体異性体のひとつ(2組の1, 3-syn-ジオール同士がsyn配置)の合成を完了した。本異性体は天然物由来フラグメントとそのスペクトルとそのスペクトルデータが一致したが、構造の確実な証明を得るために、現在さらにひとつの可能な異性体(2組の1, 3-syn-ジオール同士がanti配置)の合成を行っている。一方、アンフィジノリドCに関して、昨年度の研究において、C-1〜C-9フラグメントの推定される相対立体配置をもつジアステレオマ-の合成を行った。本年度は、化学分解反応を行うために十分な量のアンフィジノリドCを蓄積することを目的に、渦鞭毛藻Amphidinium sp.の大量培養を引き続き行い、藻体の抽出物よりマクロリド類の分離・精製を行った。その過程で、1種の新規マクロリド、アンフィジノリドQを単離し、スペクトルデータによりその構造解析を行った。本マクロリドに含まれる5個の不斉炭素の立体化学に関して、NMRデータの詳細な解析および立体配座探査計算システムを駆使することにより、一部の相対立体配置を推定した。
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[Publications] J. Kobayashi: "Amphidinolide Q, a Novel 12-Membered Macrolide from the Cultured Marine Dinoflagellate Amphidinium sp." Tetrahedron Lett.37. 1449-1450 (1996)
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[Publications] H. Ishiyama: "Studies on the Stereochemistry of Amphidinolides : Synthesis of a Diastereomer of the C-1^〜C-9 Fragment of Amphidinolide C" Chem. Pharm. Bull.44. 1819-1822 (1996)