1996 Fiscal Year Annual Research Report
デアミノノイラミン酸(KDN)残基をもつ新しい生理活性複合糖質の開発と応用-KDN特異的な転移酵素および加水分解酵素を用いたKDN複合糖質の合成経路の確立
Project/Area Number |
07558211
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80192558)
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Keywords | KDN / KDN転移酵素 / KDNアーゼ / KDN糖脂質 / KDN複合糖質 / レクチン / 有機新素材の開発 / 生理活性物質の開発 |
Research Abstract |
本研究はKDNがユニークな性質をもつ新規シアル酸であることを利用して、KDNをもつ新しい生理性物質あるいは新しい有機素材を開発する目的で行い、今年度は以下の実績を得た。 1.新規KDN複合糖質の合成系の確立と利用:昨年までにKDN残基の酵素的合成を目的として、KDN単糖の大量合成、さらに移転酵素の基質となるCMP-KDNの酵素的合成を確立した。今年度は、最終段階のKDNの種々の糖鎖、糖タンパク質、糖脂質への取り込み反応の確立を目指した。その結果、CMP-KDNを基質として利用できる組み換え体酵素を含む数種のシアル酸転移酵素がみいだされ、それを用いて、新規KDN複合糖質の自在合成が可能であることを確認した。現在、幾つかの既知シアル酸転移酵素をcDNAから培養細胞系で発現させて利用する系の確立を急いでいる。 2.KDN結合タンパク質の検索と利用:1.の合成系を利用して、KDN残基を導入したヒトKDN-トランスフェリン、KDNラクトサミンを用いて、既知のシアル酸特異的レクチン(SSA)の反応性を調べた結果、KDN残基はN-アセチルノイラミン酸残基と同等か僅かに強くSSAレクチンに結合することが明らかになった。現在のところ、KDN特異的なレクチンは見出されていない 3.KDN複合糖質を細胞表面に発現される実験系の開発と応用:KDN残基の細胞系での発現を可能にするために、単糖KDNの生合成経路を理解することが重要であるとの見地に立って研究を進めた結果、KDNの発現レベルの高いニジマス精巣で、マンノース6ーリン酸とホスホエノールピルビン酸から単糖KDN産生の重要な中間体であるKDN 9ーリン酸を合成するKDN 9ーリン酸合成酵素の活性が存在することを見出した。現在、この酵素のcDNAクローニングを目的としたタンパク質精製を行っているところである。
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[Publications] 北島,健: "新しいシアル酸KDNの糖鎖生物学の最近の発展" 生化学. 68、(1). 44-51 (1997)
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[Publications] Ziak,Martin: "Occurrence of poly(a2,8-deaminoneuraminic^・acid)in mammalian Tissues." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 93. 2759-2763 (1996)
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[Publications] Inoue,Sadako: "Identificatton of KDN residues in mammalian tissues and human carcinoma cells." J.Biol.Chem.271. 24321-24344 (1996)
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[Publications] Terada,Takako: "A new sialidase (KDNase Sm) catalysis initially forms a less stable anomer of KDN and is strongly inhibited by a transition state analogue,KDN2en,but not by Neu2en5Ac." J.Biol.Chem.272(in press). (1997)