1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内の加水分解反応が引き金となるシグナル伝達の細胞内観測システムの開発
Project/Area Number |
07558213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎森 康文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60160389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 好 福島県立医大, 生体情報伝達研究所, 教授 (60192324)
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Keywords | 加水分解 / 細胞内 / カルパイン / ホスホリパーゼC / カルシウム / ショウジョウバエ / 情報伝達 / 発生 |
Research Abstract |
タンパク質や脂質の分解過程は生合成過程と共に重要であるが、細胞内における加水分解過程に関する知識は極めて乏しいことを踏まえ、本研究は、我々が生化学的および分子生物学的解析をこれまで行ってきたカルパインとイノシトールリン脂質特異的ホスホリパーゼC(以下、PLC)に関し、これらの酵素が触媒する加水分解反応をin vivoで観測する実験系の確立を目的として行った。すなわち、これらの酵素の活性発現と、その結果起きる細胞骨格系の再構成といった可視的な現象を同時に捉えることのできるシステムの開発を行い、生体内化学反応を“見る"ことができる実験系の確立を目指した。対象としては、ショウジョウバエ初期胚を用い、カルパインとPLCが触媒する細胞内加水分解反応を捕捉するシステムを確立する研究を行った。具体的には、(1)受精(散卵)後30文以内のショウジョウバエのごく初期胚における抗カルパイン抗体および抗PLC抗体を用いたショウジョウバエ初期胚における免疫組織化学的解析による予備観察、(2)カルパインの基質となる可能性があるアクチン調節タンパク質に対するカルパインの作用を示すプローブ(切断部位を認識する抗体)の作成、(3)これらのプローブを利用した、PLC、カルパイン、および、その基質の動態の観察、すなわち、生きたショウジョウバエ初期胚(発生過程)における機能発現の観察を行いうる実験系の確立を行った。さらに、PLCに関しては、PIP_2という基質のほかに活性調節タンパク質p122の作用の研究を行い、カルパインと同様の活性調節機構も含めて解析した。その結果、生きた状態におけるこれらのカルシウムシグナリングに関わる加水分解酵素の活性発現の観察に関しては、今後更なる検討が必要であるが、固定した試料における反応の捕捉は基本的には、十分行いうるとの結果を得た。
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[Publications] A.S.Arora,P.D.Goen,D.E.Croall,Y.Emori & G.J.Gores: "Hepatocellular carcinoma cells resist recrosts during anoxia by preventing phosphalipaje-medtated colpain activatin" Journal of Cellular Phyriology. 167. 434-442 (1996)
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[Publications] A.S.Arora,P.D.Goen,Y.Emori & G.J.Gores: "A cascude of degradative hydrolase activity contributes to repatocyte recrosis duning anoxig" American Journal of Physiology. 270. G238-G245 (1996)
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[Publications] J.R.Beyette,Y,Emori & D.L.Mykles: "Immunological analysis of two calpain-like Ca^<2+> dependent proteincses from lobcter striuted muscles:relationsp to mammalian and Drosoplila cilpcihs" Archives of Biochemistry and Biophysics. 337(印刷中). (1997)
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[Publications] 榎森康文(分担): "ホルモンの分子生物学序説(日本比較内分泌学会編)" 学会出版センター, 217 (1996)
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[Publications] 榎森康文(分担): "発生と成長因子・ホルモン(日本比較内分泌学会編)" 学会出版センター, 163 (1996)