1997 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモジュリン固定化法を用いた血液凝固抑制能を有する医用材料の開発
Project/Area Number |
07558258
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
明石 満 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20145460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 修司 旭化成工業株式会社, ライフサイエンス総合研究所・開発薬理研究所, 所長
丸山 征朗 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
|
Keywords | トロンボモジュリン / フラグメント / トロンビン / 固定化 / 抗血栓性 / 表面プラズモン共鳴(SPR) |
Research Abstract |
本研究の目的は、血管内皮細胞膜に存在し血管内の血液凝固を制御するタンパク質であるトロンボモジュリンの特性を活かし、これを材料表面に固定化した血液凝固阻止材料を開発することである。これまでに、遺伝子工学によって合成されたヒト由来のトロンボモジュリンをポリエチレン、セルロースフィルムなどの高分子材料に固定化し、その優れた抗血栓性について明らかにしてきた。最終年度の9年度は、トロンビンと相互作用する活性部位に相当するトロンボモジュリン-フラグメントを固定化し、機能発現について従来のトロンボモジュリンと比較した。また、近年、表面プラズモン共鳴(SPR)を測定原理とするバイオセンサーが簡便に扱えるようになり、生体分子の相互作用の研究に用いられている。そこで、トロンボモジュリンとトロンビンの生体内における相互作用をより詳細に観察するためにSPRを測定原理とするBIA coreを用いて検討した。 トロンボモジュリンは、アクリル酸をグラフト重合させたポリエチレンフィルムに水溶性カルボジイミドによって共有結合させることで固定化し抗血栓性の発現を評価した。BIA core測定は、リガンドとしてトロンビンを用い、アナライトとトロンボモジュリンを用いた。 本研究により、トロンボモジュリン-フラグメントの固定化が可能であり、従来のトロンボモジュリンとほぼ同じ抗血栓性を示すことがわかった。BIA core測定では、トロンビンに対する解離定数がフラグメントおよび従来のトロンボモジュリンともにほぼ同等であったことから、トロンビントトの相互作用は同じであることがわかった。よって、活性部位に相当するトロンボモジュリン-フラグメントもまた抗血栓性材料として用いることができることが明らかになった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 岸田晶夫 他: "ヒト・トロンボモジュリン-フラグメント(E456)の固定化と抗血栓性評価" 第46回高分子学会年次大会、横浜、1997年5月. 46(3). 345 (1997)
-
[Publications] 岸田晶夫 他: "トロンボモジュリンの医用材料への応用" 第7回バイオ・高分子シンポジウム、東京、1997年7月. 71-72 (1997)
-
[Publications] 岸田晶夫 他: "固定化トロンボモジュリンの医用材料への応用" 日本化学会九州支部・同中国四国支部合同大会、宮崎. 347 (1997)