1996 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素で機能するエンハンサーを利用した動物細胞の超高密度培養法の開発
Project/Area Number |
07559009
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Section | 試験 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 隆造 京都大学, 農学部, 教授 (60077378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 義人 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50175395)
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Keywords | 低酸素 / 組み換え型蛋白質 / 低酸素エンハンサー / プロモーター / レポーター / エリスロポエチン |
Research Abstract |
酸素は生物にとって必須であるので、生物は酸素不足に対応して生存しようとする。多くの場合、酸素不足に対する対応は特異遺伝子の発現による。低酸素による遺伝子発現の活性は、低酸素に応答するエンハンサーが活性化され、遺伝子の転写が促進されることによる。 動物細胞による組み換え型蛋白質生産過程における重要な問題点のひとつは、酸素供給であり、細胞の生存や物質生産を維持するための激しい酸素供給は細胞に傷害を与える。そこで、本研究は、低酸素で活性化されるエンハンサーを利用して、通常の酸素状態でもまた低酸素状態でも組み換え型蛋白質を効率よく生産するシステムを開発するための実験を行った。まず、低酸素に応答する典型的な遺伝子としてエリスロポエチン(EPO)遺伝子のエンハンサーを利用し、β-ガラクトシダーゼをレポーターとして使用し、β-ガラクトシダーゼ生合成の酸素依存生を詳細に解析した。その結果、このエンハンサーは低酸素で転写を著しく活性化することを見出し、物質生産に有効であることを明らかにした。ついで、強いプロモーターで物質生産に使用されているcytomegalovirous(CMV)プロモーターやelongation factor-1αプロモーターにエンハンサーを接続し、EPOをレポーター遺伝子とするプラスミドを構築した。このプラスミドを使用し、組み換え型蛋白質の生産細胞として使用されるChinese hamstar ovary(CHO)細胞によるEPOの生産を解析した。エンハンサーは、低酸素によるEPO生産低下を防止し、通常の酸素状態に匹敵するEPO生産能力を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] E.Morishita: "Anti-erythropoietin receptor monoclonal antibody : Epitope mapping quantification of the soluble receptor,and detection of the solubilized transmembrane receptor and the receptor and receptor-expressing cells." Blood. 88. 465-471 (1996)
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[Publications] Y.Yasuda: "Erythropoietin is increased in avascular yolk sacs induced by retinoic acid in mice." Der.Dynamics. 207. 184-194 (1996)
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[Publications] E.Morishita: "Erythropoietin receptor is expressed in rat hippocampal and cerebral cortical neurons,and erythropoietin prevents in vitro glutamate induced neuronal death." Neurosci.76. 105-116 (1997)
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[Publications] S.Masuda: "Insulin-like growth factors and insulin stimulate erythropoietin production in primary cultured astrocytes." Brain Res.746. 63-70 (1997)
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[Publications] M.Nagao: "Secretory production of erythropoietin and the extracellular domain of erythropoietin receptor by Bacillus brevis : Affinity purification and characterization." Biosci.Biotech.Biochem.(印刷中). (1997)
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[Publications] 永尾雅哉: "蛋白質核酸酵素" 酸素による遺伝子発現の制御, 10 (1996)