1997 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素で機能するエンハンサーを利用した動物細胞の超高密度培養法の開発
Project/Area Number |
07559009
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々木 隆造 京都大学, 農学研究科, 教授 (60077378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 義人 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (50175395)
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Keywords | 組換え型蛋白質 / 動物細胞 / 低酸素 / 発現調節 / 糖鎖構造 / エリスロポエチン / エンハンサー / 細胞培養 |
Research Abstract |
酸素は生物にとって必須であるので、生物は酸素不足に対応して生存しようとする。多くの場合、酸素不足に対する対応は特異的遺伝子の発現による。低酸素による遺伝子発現の活性は、低酸素に応答するエンハンサーが活性化され、遺伝子の転写が促進されることによる。 動物細胞による組換え型蛋白質生産過程における重要な問題点のひとつは、酸素供給であり、細胞の生存や物質生産を維持するための激しい酸素供給は細胞に傷害を与える。そこで、本研究は、低酸素で活性化されるエンハンサーを利用して、通常の酸素状態でもまた低酸素状態でも組換え型蛋白質を効率よく生産するシステムを開発するための実験を行った。解糖系のいくつかの酵素の遺伝子発現は低酸素により誘導される。乳酸脱水素酵素A(LDHA)(筋肉型酵素)の遺伝子発現は低酸素より誘導されるが、通常の酸素圧下における発現はそれ程強くない。その理由は、LDHA遺伝子発現の制御エレメントは三つよりなっており、5 フランキング領域に、負の制御領域・低酸素エンハンサー・プロモーターの順に並んでいる。この負の制御領域を除去すると、このプロモーターは大変強いプロモーターになり、組換え型蛋白質生産用に使用されているプロモーターに匹敵する活性を持つ。そこで、LDHAのプロモーター・エンハンサーにエリスロポエチン(EPO)cDNAを連結した発現プラスミドを構築し、CHO細胞に導入し、EPO生産株を多数樹立した。EPO生産の酸素依存性を調べた結果、どのクローンも低酸素による高い誘導性を示した。選択したクローンについて生産されたEPOの性格の解折(糖鎖の構造、in vivo及びin vitro活性)し、LDHAのエンハンサー・プロモーターシステムの使用がきわめて有効であることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.K.Moon: "Erythropoietin enhancer stimulates production of a recombinant protein by Chinese hamster ovary (CHO) cells under hypoxic condition." Cytotechnol.25. 79-88 (1997)
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[Publications] Y.Shirai: "Effect of hypoxia duration on the oxgen-depdent production of a recombinant protein by an animal cell line,F6D2,with a hypoxia inducible enhancer." Cytotechnol.25. 71-77 (1997)
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[Publications] T.Kambe: "Embryonal carcinoma P19 cells produce erythropoietin constitutively but express lactate dehydrogenase in an oxygen-dependent manner." Blood. 91. 1185-1195 (1998)