1995 Fiscal Year Annual Research Report
「新しい現象学」からみた生活世界の現象学の具体化の基礎的研究
Project/Area Number |
07610005
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 侃 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科 (60065878)
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Keywords | 「新しい現象学」 / 生活世界 / 現象学 / 身体 / 感情 / 気候 / 雰囲気 |
Research Abstract |
1)本年度においては,まずヘルマン・シュミッツの現象学における身体・感情・雰囲気・風・気候・風土の概念を再検討し,世界のシュミッツ的意味を明らかにして,生活世界の現象学の体系化の基礎を築く。ヘルマン・シュミッツの身体と感情の概念を現象学的な観点から根本的に検討し,感情を主観・客観関係を越えた深い次元において把握することにつとめた。シュミッツの最近2年間の著書や,とくにシュミッツの『退官記念論文集』,キ-ルの『新しい現象学』の学会の年報(Neue Panomenologie in der Diskussion)に現れている論文を検討した。なかでもシュミッツ解釈の点でもダルムシュタットのゲルノット・ベ-メの論文「物の脱自態」と,彼の『雰囲気』から学ぶところが多かった。身体・感情・気候・雰囲気の観点から見られた生活世界の概念の一層の具体化をはかり,「世界」の概念との関係において研究した。2)シュミッツの主観・客観関係を破壊する端的な知覚の思想から,感情と雰囲気の超-主観的存在次元への問,身体の広がりとその狭隘化の関係とに検討を加え,これらを,ヘルトの『ヘラクレイトスとパルメニデス』書の「エレメント(地水火風)の現象学」における生活世界の原初的な概念と対比した。3)最終的に,シュミッツのなかにある雰囲気・感情・風土・風の現象学を,フッサーやハイデッガ-に発想がみられた生活世界の現象学の具体化の道として研究した。とくに,私の今年度の研究成果は「「気」と雰囲気-風の現象学の試み」(香港の中国・ドイツ・アメリカ・日本の共同研究学会)として結実した。
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[Publications] 小川侃: "Tramlahon as a cultral Pooblem" The Mouist. Vol.78. 18-29 (1995)
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[Publications] 小川侃: ":Golthes Sondertelling in der japoniscler Bilding" Lesem and Sclueiben, (Hg. ralkes Walb). 193-208 (1995)