1995 Fiscal Year Annual Research Report
カントおよび現代哲学における「内」と「外」の相関概念に関する理論的・歴史的研究
Project/Area Number |
07610010
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 泰史 南山大学, 文学部, 助教授 (90183780)
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Keywords | 観念論論駁 / 転移理論 / 他者問題 |
Research Abstract |
1,平成7年度の研究計画にしたがって「カント・テクスト・データベース」およびイギリス経験論の主要文献のテクスト・データベースを購入すると同時に、そのハード環境を整えた。 2,これらのテクスト・データベースを利用して、まずカントの『純粋理性批判』の用語検索を行なった。現時点ではすべての用語検索とその分析が済んでいるわけではないが、今後の研究方向を定める上での重要な論点と知見を得ることができた。それらを以下に列挙する。 (1),「内」と「外」の相関概念に関わるカントの議論は、独特に否定的な仕方で「他者問題」に関わっていることが、現時点での用語検索とその分析によってわかってきた。 (2),『純粋理性批判』第二版「観念論論駁」の論議はその背後に「他者問題」を(否定的な仕方ではあるが)含んでいる。つまり、カントが「内的経験は外的経験を通してのみ可能である」と主張する場合に、「外的経験」は「他者経験」といかなる点で異なるのか、という論点である。 (3),以上の論点は「パラロギスムス」の「転移理論」の問題性を解明することによって明らかにすることができる。この見通しは、ゲルハルト・シェーンリヒの最新論文を詳細に分析することによって具体的に明らかにされるであろう。 (4),したがってまた、カントの議論の歴史的背景であるイギリス経験論の「他者問題」をテクスト・データベースを使用して解明することが重要な作業となろう。
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