1996 Fiscal Year Annual Research Report
カントおよび現代哲学における「内」と「外」の相関概念に関する理論的・歴史的研究
Project/Area Number |
07610010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 泰史 南山大学, 文学部, 助教授 (90183780)
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Keywords | 理性の公共化 / 真理の外的試金石 |
Research Abstract |
1.本年度の研究計画にしたがって、「データベース」を利用してカントのテクスト分析を行なった(具体的には、『純粋理性批判』および『啓蒙とは何か』)。このテクスト分析によって「真理の外的試金石」の問題を析出してその理論的意義と実践的意義を考察した。その結果、この問題の論点を「理性の公共化」として理解することが可能であることが明らかとなった。これは、この研究によって得られた新しい知見のひとつである。「理性の公共化」の問題はこれまでほとんど論及されおらず、今後もこれに関する研究書および研究論文を収捨してこの問題を引き続き考察してゆきたいと考えている。 2.昨年度の予算で購入したのコンピューターの環境を少し変更したので、それに適合するスキャナーの購入が少し遅れたが、現在はその環境も整い順調にデカルトなどのテクストを「データベース」化している。 3.デカルトやバ-クリなどに関する研究書および研究論文の収捨も予定通りに進行し、現在それらの分析を行なっている。これらの研究論文の中ではヘッフェの研究に現在注目している。ヘッフェによれば、従来の研究ではカントとデカルトとの非連続性が強調されていたが、内容的には連続している側面も無視することができないのであり、今後はヘッフェの提起した論点を具体的に分析してゆきたいと考えている。
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