1996 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末から20世紀初頭のロシア法思想史に見るロシア人の秩序意識
Project/Area Number |
07610039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉浦 秀一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (50196713)
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Keywords | ロシア法思想史 / ロシア自由主義 / 法哲学 / 思想史 / ロシア史 / チチェーリン / ソロヴィヨフ |
Research Abstract |
本年度は、主として、ロシア宗教思想のなかでの法思想の分析、特にウラジ-ミル・ソロヴィヨフの分析の携わった。ソロヴィヨフの法思想は、きわめて錯綜しており、キリスト教の救済論、社会的啓蒙の思想、進化論的な社会発展の思想、およびオカルティズムの融合したものである。そしてこれが、一方では20世紀初頭のロシア自由主義の法思想に、他方では、ボリシェヴィズム内の建神論(ボクダ-ノフ)に取り入れられていくのである。ソロヴィヨフの法思想に関しては、数度の研究発表を行ったが、本年度は論文としては発表していない。しかし、骨格はすでにできあがっているので近く発表するつもりである。 これと平行して、ロシアの福祉思想の研究を巣埋めた。福祉をどのように理解するかは、つまり、それを政府の恩恵とみなすか、人民の権利とみなすか、あるいは愛による善行とみなすかは、秩序意識の根幹に関わる問題である。これは論文「ロシア社会福祉-関市・思想・制度-」としてすでに脱稿し、『世界の社会福祉』(田中浩編、明治書院)として、近く刊行される。 また、ロシア思想史研究会設立40周年記念シンポジウム(昨年3月)における講演「ロシア思想史の課題と展望」が昨年5月に『ロシア史研究』59号に掲載された。 現在は、ロシア実証主義および新自由主義の法思想の分析に取り組んでいる。新自由主義に関しては、文献調査も終わり、おおよその輪郭がつかめてきた。しかし実証主義に関しては、まだ緒についたばかりであり、引き続き研究を続けて行くつもりである。
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Research Products
(1 results)