1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610045
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Research Institution | Seinan Jogakuin Jr.College |
Principal Investigator |
片山 寛 西南女学院短期大学, 一般教育, 助教授 (50185815)
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Keywords | 12世紀 / 修道院 / 神学と哲学 / 結婚 / 教養 / サクラメント / 家族 / フ-ゴ- |
Research Abstract |
平成9年度は、3年間の研究期間の終了年度にあたり、これまでの研究成果をとりまとめて発表すべき年度となった。12世紀の修道院神学の様々な代表者たちの中から、これまで日本ではほとんど取り上げられてこなかった、サン・ヴィクトール学派を研究の中心におき、特に、学派の中心人物であるフ-ゴ-と、その弟子リカルドゥスをテーマとして研究をすすめ、いくつかの機会に発表をすることができた。フ-ゴ-については、特に彼の学問論の中心である神学と哲学の関係に着目し、平成9年12月に、『西南女学院短期大学研究紀要』第44号に「サン・ヴィクトールのフ-ゴ-『ディダスカリコン』における神学と哲学」と題して論文を発表した。更にこの研究は、西欧の12世紀にはじまったと考えられる個人的な作業としての学問が、どのような淵源を持つものであるかを考察するという、より大きなテーマに発展したが、その成果の一端は、平成10年3月28日に行われたトマス研究会で、「サン・ヴィクトールのフ-ゴ-における『教養』の問題」と題して、研究発表された。この論文は、いずれ何らかの形で公刊したい。 C.H.ハスキンズの提唱以来「12世紀ルネサンス」と呼ばれる社会的・思想的な大変化の全体を視野に入れた研究としては、平成8年度以降、結婚を含む教会のサクラメントをテーマに研究をすすめてきたが、平成9年度には、二つの成果発表の機会を持った。ひとつは「ともに生きる根拠--共同体としての家族を考える」と題されて、論文集(共著)『人間、何処からどこへ』(ナカニシヤ出版1998年3月)に掲載された。もうひとつは未公刊であるが、1997年12月3日に、日本バプテスト連盟牧師研修会で行った講演「礼典とは何か--教理史的考察」であり、そこでは、12世紀のペトルス・ロンバルドゥスにおいて確定した、教会の7つの礼典の社会的な意味を考察した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 片山 寛: "サン・ヴィクトールのフ-ゴ-『ディダスカリコン』における神学と哲学" 西南女学院短期大学研究紀要. 44. 1-9 (1997)
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[Publications] 井上義彦.片山寛 他7名: "人間、何処からどこへ" ナカニシヤ出版, 260 (1998)