1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610057
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
原口 志津子 富山県立大学, 工学部, 助教授 (40208666)
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Keywords | 本願寺 / 絵所絵師 / 涅槃図 / 洛中洛外図 / 狩野養信 |
Research Abstract |
新湊市・大楽寺(浄土宗)に所蔵される「十王図」「涅槃図」の調査を行った。「十王図」は江戸時代中期のものであるが、「涅槃図」には、「天文十五年(1546)六月吉日土蔵与三年二十六才筆」と銘があり、筆者は『古画備考』所載の土蔵加賀将監安芸の子孫で、本願寺絵所絵師かと思われる。室町末の絵所絵師の活動実態の一端を示すものとして貴重であり、早急に学術誌に資料紹介を行いたい。 また、福野町・安居寺(真言宗)の「涅槃図」の図像が、鎌倉時代の東京国立博物館所蔵の涅槃図の写しであり、版本としても流布した図像であることがわかった。これにより、南北朝から室町時代にかけての地方における絵画の流通の問題を考察すひとつの手がかりが得られた。 高岡市・勝興寺(浄土真宗本願寺派)蔵「洛中洛外図」(重文)は、鷹司家息女持参の伝承をもつ。筆者は、同寺所蔵の狩野晴川院養信筆「刑和僕・百猿・百鶴図」が、養信の公用日記に鷹司家のためにえがかれたものとして登場することから、その伝承を裏付けた。今後さらに、同寺所蔵の「花篭図」の年代同定とともに、伝承を史実として解明してゆきたいと考える。
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