Research Abstract |
随伴性判断の実験においては,通常2×2の随伴性テーブルに従って情報が提示され,それをもとにして被験者は判断を行う。すなわち,事象Xと事象Yの生起について,それらの生起をX,Yで表し,非生起をnoX,noYで表すことにすると,a(XかつY),b(XかつnoY),c(noXかつY)d,(noXかつnoY)の4種の情報が提示される。 これまでの研究によって,随伴性の判断が,客観的随伴性の変化にもよく追随し,かなり正確であることが示されている。しかし,反面,判断に様々なバイアスが入り得ることも指摘され,また被験者が随伴性テーブルの4つのセルの重要性を同等とはみなしていないことを示すデータもある。 そこで本研究においては,客観的随伴性は同じであるが,各セルの頻度が異なる条件を設定し,随伴性判断がそれによって異なるか否かを検討した。客観的随伴性は,-0.657,-0.556,-0.4,0.4,0.556,0.657の6段階を設定した。例えば-0.657の条件では,セルa,b,c,dの頻度がそれぞれ(12,2,2,8)と(8,2,2,12)の2通りが用意された。実験は,パソコン画面上にハイパーカードによって作成したアプリケーションによって情報が逐次提示され,被験者は画面上の指標によって判断を回答した。被験者は全12問をランダム順に行った。 実験の結果,客観的随伴性が同一であっても,各セルの頻度が異なると随伴性判断が異なること,特にセルaの頻度の影響が大であることが示された。これは,以前の研究において被験者がセルの重要さについてa>b>c>dであるという報告をしていることと一致する。各セルの情報が提示されたときに判断に要する時間について検討した結果,全体としてa,b,c,dの順で長時間を要することが示された。この結果もセルの重要さについての評価と合致している。
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