1995 Fiscal Year Annual Research Report
形態の意味的把捉が視覚的同時対比に及ぼすトップダウン的効果に関する研究
Project/Area Number |
07610073
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
後藤 倬男 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (40022355)
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Keywords | コフカ・リング様パターン / 視覚的同時対比 / 形態の意味的把捉 / トップダウン的効果 / 同化的見え / 対比的見え / 並列的配置図形 / 形態の均一性 |
Research Abstract |
研究代表者は、これまで、コフカ・リング様パターン(明度あるいは色相の異なる2誘導領域にまたがる検査領域お分割(形態の差異)が、対比効果に大きな変化をもたらす刺激図形)を用いて、「視覚的同時対比に及ぼす形態効果に関する研究」を進めてきている。 平成7年度では、上記の課題の新しい展開として、まず、「形態の意味的把捉が視覚的同時対比に及ぼすトップダウン的効果」をより多面的に捉えるために、「対比効果(明度あるいは色相の差異の拡大)」と「同化効果(差異の縮小)」との関係を、「並列的対比図形」を変形して新たに考案した「縞模様」の刺激図形を使用して検討した。そこでは、従来の諸実験結果とは異なり、強い「対比効果」が認められたが、“この刺激図形が、縞模様の幅の変化によって、「同化的な見え」と「対比的な見え」をもたらすことをよく知っている観察者"には、「同化的な見え」も報告された。すなわち、この種の図形に対する「知識の差異」が、図形の知覚に「把捉の違い」をもたらしていることが確かめられた。つぎに、検査図形の均一性の効果に関して、設備備品費および消耗品費によって整えられたパーソナルコンピュータおよびソフト(アドビ)を用いた実験的検討を続けており、そこでは、並列的配置図形(円・正方形・三角形等の組合せ)における対比効果の量に、形態の組合せが影響を及ぼしていることが知られ、「検査図形の形態の均一性が対比に及ぼす促進効果」が認められた。しかし、美術系の観察者を含む多様な観察結果には個人差も大きく、その背景と考えられる「トップダウン的意味的把捉の差異」について、刺激図形の種類や観察者を広げて検討を続けている。これらの結果については、日本色彩学会をはじめ、平成9年に日本で開催される第8回国際色彩学会大会での発表と、Psychologia誌をはじめとする学術雑誌への論文掲載を計画している。
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[Publications] 後藤 倬男: "傾斜配置の縞模様図形における同時色同化・対比におよぼす縞の幅の効果" 日本色彩学会誌. (発表予定).
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[Publications] 後藤 倬男: "Effects of Width-variation in Angled Stripe-patterns on Simultaneous Hue Assimilation and Contrast." Psychologia. (発表予定).