1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610076
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 利章 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00116104)
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Keywords | 注意 / 3次元空間 / 視覚的注意 / 奥行き知覚 |
Research Abstract |
視覚的注意の移動研究はこれまで2次元空間内で検討されてきた。しかし、奥行き距離の異なる対象間でどのように注意の移動、切り替えが行なわれるかという3次元空間内での問題は検討されていない。この点を明らかにするために、新しい実験手法を開発、適用した。得られた主な結果は、以下の通りである。 1.注意距離よりも近い対象には遠い対象に対してよりも注意は速く働く。 2.予備情報・予期は、2次元平面上での注意事態よりも、奥行き・遠近注意事態で顕著な効果を示す。横方向注意と比較しての奥行き注意の特性、および移動事態と静止事態での奥行き注意の相違がさらに追及すべき課題の一つに挙げられる。 3.移動事態での注意の切り換えは、「遠→近」の方が「近→遠」の切り換えよりも効率よく行なわれる。このことを移動事態における注意移動の“RUBBER BAND METAPHOR"と呼んだ。この特性は、静止状態では示されない。「注意の切り替えの異方性が移動状態で大きく出ること」が見い出された。 これは新しい知見であるとともに、今後さらに追求すべき意義深い問題である。これらは、人間の遠近注意移動機構の生態学的妥当性、空間表象の観察者中心性を示す新しい知見である。注意の奥行き特性、移動事態の持つ意味という二つの観点から、これらの概念を引き続き実証的に精緻化していく。
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