1996 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリ容量の個人差と語彙アクセス:事象関連電位のトポグラフィによる検討
Project/Area Number |
07610078
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Research Institution | Osaka university of foreign studies |
Principal Investigator |
苧阪 満里子 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70144300)
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Keywords | ワーキングメモリ / 事象関連電位 / 語彙アクセス / トポグラフィ / リーディングスペンテスト |
Research Abstract |
本研究では、語彙アクセス過程におけるワーキングメモリの個人差を、脳の生理学的基礎データから測定することを目的とした。そこで、先行単語によるプライミング効果の大きさを、ワーキングメモリの個人差の視点から分析した。そして、語彙アクセス過程の脳内メカニズムを探索するため、語彙アクセスと同期した事象関連電位の測定を行なった。 平成8年度には、言語の情報処理と関わるワーキングメモリ容量の個人差を測定するリーディングスパンテスト(RST)を、大学生を対象として実施した。RSTの測定結果から、スパンが4.0以上の高スパン(ワーキングメモリ容量が大きい)の被験者と、スパンが2.5以下の低スパン(ワーキングメモリ容量が小さい)の被験者の2つのグループを設定した。2つのグループについて、単語の語彙アクセスに同期した事象関連電位の測定を行なった。そこでは、プライミムとターゲットのそれぞれの単語が意味的に関連する条件と、意味的に関連しない条件を設定して、それぞれの条件ごとに反応時間と事象関連電位を測定した。事象関連電位は、陽性成分(p300)と陰性成分(N400)についてトポグラフィを求めた。 この結果、意味的関連条件に比較して、意味的非関連条件ではN400の増大が認められた。また、この負方向の電位の大きさは被験者により差があった。電位の増加は高スパンの被験者に、特に前頭部位に限局して増大する傾向が、トポグラフィから認められた。さらに、潜時200-400msの陽性方向のP300の成分も高スパンの被験者では、前頭部位を中心に増加する傾向が認められた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Osaka,M: "Working memory and working brain" International Journal of Psychology. 31. 20 (1996)
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[Publications] 苧阪 満里子: "言語とワーキングメモリ" 矢語症研究. (予定). (1996)
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[Publications] 苧阪満里子: "ワーキングメモリ容量の個人差と語彙アクセス" 日本生理心理学会第15回大会予稿集.