1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610081
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤田 尚文 高知大学, 教育学部, 助教授 (10165384)
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Keywords | 触覚 / 奥行き / PSE |
Research Abstract |
3次元物体を触覚を用いて探索するときに、人はどのような分節化方式にしたがって対象を認識しているかを探るのが本研究の目的である。これを知るために本年度はまず、触覚による曲面の奥行き知覚を規定する要因を探った。 これを調べるために、凹曲面を触覚的に探索させ、標準刺激と比較刺激の深さの主観的等価値(PSE)を求める実験を5つ行った。実験1では直径が3cmから5cm、奥行きが5mmまたは7mmの凹面(球面の一部)のPSEの変化を調べた。その結果、直径が小さいほど、また深さが浅いほど奥行きを過大評価することがわかった。実験2では曲面の曲率が一定ではない非球面を用いて実験を行ったが、周辺部の曲率が大きい図形は定曲率の図形よりも錯覚量が減少した。これらの傾向を説明する仮説として、くぼみ部分の容積が小さいほど錯覚量が大きくなるのではないかという、容積仮説をたて、これを検証するために実験3を行ったが、必ずしも容積に従って錯覚量が変化するという傾向は見いだせなかった。そこで次に凹曲面を指で探索するさいの、触りやすさと錯覚量の関係を実験4で調べたところ、披験者が触りやすいと感じる曲面ほど、錯覚量が大きいという傾向が認められた。もしこのことが正しいのなら、曲面を相似的に拡大してもこの関係が見いだせるかもしれないと考えて、実験1で用いた図形を1.5倍にしたものを用いてPSEを求める実験を行ったところ(実験5)、錯覚量の比率(PSE/奥行き)は実験1とほぼ同じであることがわかった。これらのことから、奥行き知覚において錯覚をもたらす要因は、曲率であるというよりは、もう少しグローバルな形態的要因であることが示唆された。
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