1996 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害・自閉症児の愛着形成過程に関する基礎的研究
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07610100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古塚 孝 北海道大学, 教育学部, 助教授 (30091490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 省仁 北海道大学, 教育学部, 助教授 (20171960)
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 愛着 / 情動発達 / 心の理論 / 療育法 |
Research Abstract |
自閉症児Aのセラピー経過と母親との相談内容(1回2時間、38回)をビデオ解析し、理論的考察を行った. (1)自閉児の主要賞状の一つである「同一性の保持、常同行動」場面におけるセラピスト・母親の関わりが発達を促す「軸」である.即ち、母親にとっては、常同行動を全く意味のない・理解できない行動であることが、自閉児によって常同行動は世界の安定性一貫性を確認し、不安を取り除くことが出来るの唯一の手段である.自閉児はFrith (1989)のいう「断片化さあれた世界」に生きていて、あらゆる事象は突発的偶発的で、制御不可能なのである.かれらが安心出来るのは世界(ものと人)がいつも同じ判追うを返してくれることである. (2)当初、本児は恐怖が心内に生じた時、常同行動としてのミニカ-遊びに逃げ込み、無表情かつ鬱的で、遊びに熱中するので、母は彼が感じている不安・恐怖を了解出来なかった.彼は唯一掃除機には恐怖反応(心拍数の飛躍的増大を指標とする)を明確にしていた.ミニカ-遊びを上記の様に解釈し、母親は抱っこし、不安を取り除く対応を遊びの中で継続的に行った.この結果、彼は恐怖から逃れる為の道具として母を利用する戦略を獲得した.母は自分が道具にしかすぎないこと、情緒的交流が無いこと、自分の要求のみに固執する子どもに愛着することは困難であった. (3)安心できる遊び中の母子交流を通して、情動表現を開始、Social referenceの対称として母親をみなすようになった.感情教育をする中で、自己の鏡映像に興味を示す等「自己」を発見し、遂に、彼は愛着対象として母親を発見するに到った. 生得的なNonuerbal communication手段である、情緒的交流を自閉児は学習によって獲得可能である.断片化された世界から自閉児を引きずりだし、親が構築した安定的世界内での経験の蓄積が重要である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 古塚 孝: "親子相互作用の整備改善のための親への援助(印刷中)" 別冊 発達「障害児・病児のための発達理解と発達援助 前川喜平・三宅和夫編」. 22号. (1997)
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[Publications] 古塚 孝: "高機能自閉症者の認知・記憶機能の特徴 日本特殊教育学会第34回大会シンポジウム報告." 特殊教育学研究. (印刷中). (1997)
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[Publications] 村上千佳: "精神遅滞児における数概念の獲得-その発達的特徴及び援助" 日本特殊教育学会第34回大会発表論文集. 34. 250-251 (1996)
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[Publications] 白崎真紀子: "言語理解における作業記憶の役割" 日本特殊教育学会第34回大会発表論文集. 34. 506-507 (1996)
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[Publications] 内田彰夫: "自閉症者の反復経験による規則性の獲得" 日本特殊教育学会第34回大会発表論文集. 34. 842-843 (1996)