1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610108
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐々木 忠之 茨城大学, 教育学部, 助教授 (50225877)
|
Keywords | 視覚障害 / 歩行 / 方向定位 / 音刺激 / 移動音像 / リハビリテーション |
Research Abstract |
移動音像の移動周期が歩行時の方向定位に及ぼす影響およびベアリング(身体方向の偏向)の時間変化を調べるため、防音暗室下で音像刺激を呈示した状態で被験者に2分間足踏み運動をさせ、この時の身体の向きの変化を測定した。移動音像刺激は正面および左右をステップ状に移動する音像をコンピュータによって合成し、スピーカおよびバイノ-ラル・イヤホンから被験者に呈示した。音像の移動間隔は、30秒および15秒の2種類とし、比較のために音のない条件、音像が中央に静止した条件についても実験を行った。晴眼の健常成人12名を被験者として実験を行った結果、以下の知見が得られた。 (1)スピーカによる音像呈示では、30秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングよりも15秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングの方が大きく。音像の移動周期が長いほうがベアリングが小さいことが分かった。また、30秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングは、音像が静止時のベアリングよりも大きかった。 (2)バイノ-ラル・イヤホンによる音像呈示では、30秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングよりも15秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングの方が大きく。音像の移動周期が長い方がベアリングが小さいことが分かった。また、30秒間隔で移動する音像条件下でのベアリングは、音像が静止時のベアリングとほぼ同じであった。 また、晴眼の知的障害者2名を被験者として、防音暗室下においてスピーカによる静止音像呈示条件下で60秒間歩行時の方向定位実験を行った。この結果、わずか2例と少ないが知的障害者は健常成人よりもベアリングが大きく、聴覚情報を十分に利用できていない可能性が示唆された。
|