1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610108
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐々木 忠之 茨城大学, 教育学部, 助教授 (50225877)
|
Keywords | 視覚障害 / 歩行 / 方向定位 / 音刺激 / 移動音像 / リハビリテーション |
Research Abstract |
視覚遮断時の方向定位と音刺激との関係について調べた結果、以下のことが分かった。 (1)方向定位の手がかりが無い状態では歩行時の方向を一定に保つのは困難である。 (2)スピーカのように方向の手がかりになる音源がある時には歩行時の方向を保ちやすい。 (3)イヤホンからのように方向定位の手がかりとならない音刺激は、(1)の条件より方向を一定に保つことが困難になる。 さらに(3)の条件では、イヤホンから移動する音像刺激を提示されたときに、被験者の一部から歩きにくいという意見があり、この音像刺激が身体の姿勢保持にも影響を及ぼすことが考えられた。このため、晴眼者を被験者として、音像刺激と姿勢保持の関係を調べる実験を行った。実験では、被験者を重心位置測定装置上に視覚情報を遮断した状態で起立させ、移動する音像刺激を呈示したときの重心動揺量を測定した。この結果以下のことが分かった。 (1)音刺激がある条件の方が身体の動揺量が大きくなる。 (2)音像が移動する条件の方が移動しない条件より、身体動揺量が大きくなる。 (3)身体動揺量は、左右方向が顕著に増加する傾向がある。 以上のことから、移動する音像刺激は歩行時の方向定位を難しくするだけでなく、姿勢保持にも影響を与え、歩行を不安定にすると思われる。このことは、視覚障害者用歩行補助装置などで環境情報を音で呈示する場合、安全な歩行を妨げないように慎重な配慮が必要であることを示している。
|