1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610113
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
首藤 敏元 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30187504)
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Keywords | 道徳的判断 / 社会的領域理論 / 発達 / 社会的規則 |
Research Abstract |
本研究は、社会的認知の領域理論(Social Domain Theory)に基づき、質的に異なる社会的規則概念(道徳、慣習、個人)の認知的構成のメカニズムを明らかにすること、および規則間の概念的区別と個々の規則概念の発達的変化を検討することを目的とした。 平成7年度は「社会的行動と社会的情報の関係」を検討した。浦和市内の幼稚園年少児と年長児各25名、同市内の小学2年生30名の社会的な逸脱行動と他者の反応を行動見本法により観察した。また、被観察者を含めて合計280名を対象とした、道徳、慣習と自己管理に関する規則の価値判断が面接法(幼児)と質問紙法(小学生)により検討された。一人当たり計60分の行動が観察され、のべ420の逸脱行為が観察された。これらの行為は、大カテゴリーとして、道徳的逸脱、慣習の逸脱、自己管理の逸脱に分類された。他者の反応は情緒的反応、報復、制止、命令、嘲笑、規則の言及、集団秩序の言及などのカテゴリーに分類された。逸脱行為と反応との関係は、小学生において合衆国と同様な明確な対応関係が認められた。しかし、幼児の逸脱行為は、道徳的な逸脱行為さえも、他者からの反応を伴うことが少なく、反応が随伴したとしてもその拘束力は弱いものであった。価値判断においては、幼児は質の異なる社会的規則をほとんど区別していないのに対し、小学生ではそれらを明確に区別していた、このように、社会的文脈と社会的規則との対応関係が見出された。 また、発達初期の社会的規則の構成メカニズムを明らかにするために、家庭内での幼児と母親の葛藤場面を観察と面接により収集した(平成8年度継続)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 首藤敏元: "小学生の道徳,慣習,個人概念の発達" 道徳性心理学研究. (発表予定).
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[Publications] 首藤敏元: "幼児のトラブルをめぐる社会的相互作用" 日本保育学会. (発表予定).