1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610126
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桜井 茂男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50183819)
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Keywords | 完全主義 / 尺度構成 / 信頼性 / 妥当性 |
Research Abstract |
今年度(平成7年度)の研究目的は、子ども用の多次元完全主義測定尺度を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。そこでまず、小学生ならびに担任教師を対象に面接を行い、その結果とこれまでの研究成果に基づいて子どもの完全主義を捉える完全主義測定項目原案(39項目)を作成した。この原案を小学4年生から6年生534名に実施し、因子分析を行い3因子を抽出した。各因子には「完全への願望」「結果へのこだわり」「高すぎる目標」という名前がつけられた。因子数は大学生を対象としたこれまでの研究に比べると1因子少なかった。各因子に高い因子負荷量を示す24項目(8項目×3下位尺度)を選び、子ども用の完全主義測定尺度項目とした。各下位尺度の信頼性はα係数と再検査信頼性係数で検討された。α係数は.64〜.75、1か月後に4年生を対象に実施された再検査に基づく信頼性係数は.53〜.69と、いずれも小学生にしては高い値であった。信頼性は確認されたと言えよう。上記被調査者に同時に実施された失敗不安尺度、要求水準測定尺度、確認行動測定尺度ならびに担任教師に依頼された完全主義傾向の高い子ども6名のノミネートによって、作成された完全主義測定尺度の妥当性が検討された。「完全への願望」は完全主義を代表する下位尺度であるため、いずれの尺度ならびに教師評定とも関連があると予想されたが、結果もそれを支持するものであった。「結果へのこだわり」は失敗不安、確認行動、教師評定と関連があると予想されたが、失敗不安と確認行動との関連は支持された。「高すぎる目標」は要求水準ならびに教師評定との関連が予想されたが、結果もそれをほぼ支持するものであった。以上の結果より、本尺度の妥当性はかなり高いものと結論できよう。来年度はこの尺度を用いて、ストレッサーならびに無気力との関係を検討していきたい。
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