1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610126
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
桜井 茂男 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50183819)
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Keywords | 完全主義 / 子ども / 尺度構成 / 信頼性 / 妥当性 / 無気力 / ストレッサー |
Research Abstract |
本研究の目的は、子ども用の多次元完全主義測定尺度を作成し信頼性と妥当性を確認したのち、その尺度を用いて子どもの完全主義と無気力との関係を検討することであった。 まず、子ども用多次元完全主義測定尺度原案を作成し小学4年生〜6年生に実施したのち、因子分析により3因子を抽出した。各因子に高い因子負荷量を示す項目を8項目ずつ選び、下位尺度を構成した。下位尺度は「完全への願望」「結果へのこだわり」「高すぎる目標」と命名された。信頼性はクローンバックのα係数と1か月後の再検査による信頼性係数によって確認された。妥当性は失敗不安尺度、要求水準測定尺度、確認行動測定尺度との関係ならびに担任教師の指名による完全主義傾向の強い子どもとそうでない子どもの比較によって検討された。その結果、予測はおおむね支持され妥当性が確認された。 つぎに、ストレッサーを交えて、子どもの完全主義と無気力との関係が検討された。小学4年生〜6年生にストレッサー評価尺度、上記の多次元完全主義測定尺度、抑うつ傾向尺度(無気力の指標)を実施し、三者の関係を分析した。その結果、「完全への願望」はストレッサーの高低に関係なくそれが高いと抑うつ傾向は低いこと、「結果へのこだわり」と「高すぎる目標」はストレッサーが高いときにはそれらが高いと抑うつ傾向も高いこと、が示された。また、抑うつ傾向を2時点で測定し、子どもの完全主義が抑うつ傾向に及ぼす因果的な影響も検討された。「完全への願望」は抑うつ傾向を低めるのに対して、「結果へのこだわり」と「高すぎる目標」は抑うつ傾向をほぼ高めることが明らかにされた。子どもの完全主義の構成要素の中には、無気力に対してプラスの影響をもつ要素とマイナスの影響をもつ要素のあることが確認された。
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