1996 Fiscal Year Annual Research Report
集団による情報処理過程と知識情報の共有および創造的伝承に関する研究
Project/Area Number |
07610136
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 久敬 九州大学, 教育学部, 教授 (30190143)
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Keywords | 集団業績 / 情報処理 / 情報共有 / フレイミング / 電子コミュニケーション / 集団活動 |
Research Abstract |
従来、集団成員の持つ課題遂行意欲が、集団全体の業績と関係することが示されてきた。しかしその関係性も、成員が課題遂行に必要とされる能力や知識を獲得できていなれば成り立たないはずである。本研究では、第1にそのことを指摘し、さらにある大手製薬会社の全国に広がる92営業所およびそこで勤務する1028名のMR(Medical Representative)を対象とした質問票調査によって、以下のことを実証的に明らかにした。 1 会議やチームミーティングにおいて、MRが相互に「情報の人手と提示」、「情報の練り上げと共有」、「情報の貯蔵と活用」、および「情報の増殖と伝播」という4つの情報処理のそれぞれを多く行っている営業所ほど、集団業績(営業成績)が有意に高かった。 2 それら4つの情報処理特性は、営業所の「現在の活動度(目標達成率)」よりも持続的な「成長度(対前年比)」とより強い関係性を持っていた。 3 「情報の練り上げと共有」と「情報の貯蔵と活用」の効果は、高い仕事意欲と明瞭な課題意識を持っている成員においてより顕著であった。 4 営業所集団の持っているフレイミング(framing)の違い、すなわち課題状況についての成員(MR)による意味づけや解釈の違いによって、先述の4つの情報処理特性において明らかな差異がみられた。すなわち、各情報処理特性に関する得点は、“過程(プロセス)"を重要視する(特に成員間の情報交換を大切にする)フレイミングを持つ営業所において最も高く、逆に“結果"を重要視する(営業業績の高さを主眼においた)フレイミングを持つそれにおいて最も低かった。 本研究では、第2に、最近急速に普及し始めている電子コミュニケーションが集団活動に与える各種のインパクトについて広範な概括と予測的議論を行った。
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Research Products
(2 results)