1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 恵子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40050786)
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Keywords | 友だち / 人間関係 / 文化比較 / 文化 / 小学生 |
Research Abstract |
7年度の結果は、ベルリンの子どもに比べ、わが国の子どもではいわゆる親友の概念については差がないものの友だちと呼ぶ人間関係の範囲がより広いのではないかと予想させた。そこで、今年度は「友だち」をあげさせるとわが国の子どもはより多くを挙げるのではないかという仮説を検討した。具体的には、ベルリンでの調査結果と比較することをねらいとし、Krappmann,L.らの方法を参考にして、実際の友人とのつきあいの状態を調べた。すなわち、(1)友人全体を調査すると、ベルリンの子どもに比べて、友だちと呼ぶ人間関係がより広いであろう、しかし、(2)親友とふつうの友だちとは区別するなどの構造としての特徴はベルリンの子どもと差がないであろう、という仮説を検討した。小学2、4、6年生の男女それぞれ39、46、39名の合計124名に個別面接調査を行い、発話記録を分析した。具体的には、友だちという言葉をきいて思い浮かぶ人をすべてあげさせ、そのひとりひとりについての関係の内容を調査し、「友だち」を考えたときの人数と、友人の質から見た構造に注目し分析した。結果は仮説を指示した。すなわち、ベルリンの子どもが友だちとして平均9名程度しか挙げないのに対し、わが国の子どもでは平均23名を挙げた。しかし、両群とも親しさの程度で親友、友だち、普通の友だち、遊び相手と、友だちを区別していた。そして、もっとも親しい友だちの数では両群で差はなく、わが国の子どもでは普通の友だちのカテゴリーに入れられる人数が多かった。そして、特別な理由がない限り級友のすべてを友だちとして挙げる傾向をみせた。これは、わが国の対人関係についての文化を反映していると解釈された。
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