1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610144
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
高橋 恵子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40050786)
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Keywords | 友だち / 人間関係 / 文化比較 / 小学生 / ソーシャル:ネットワーク |
Research Abstract |
前2年間の研究では、友だちにのみ焦点化して、友人についての素朴理論を明らかにしてきた。今年度は、それぞれの子どもをとりまく、多様で重要な人々で構成される「人間関係のネットワーク」の中で、友だちの果たす心理的機能を明らかにするという視点を加えた。 具体的には、前2年間に用いた視点(友だちの概念と実際の友人行動)に加えて、筆者が作成し用いている、対人関係全体を測定するメジャー(Picture Affective Relationships Test;PART)をも用いて、友人関係と他の対人関係とがいかに関連しているかを調査した。素朴理論という意味では、年齢差が大きくはないことがわかったので、本年度の調査では対象を小学4年生の男女それぞれ22名、24名計46名とした。個別面接法を行いて、発話記録を分析する方法で調査した。具体的には、Krappmannの方法(友だちをすべてあげさせ、そのひとりひとりについての関係の内容を調査)、PART(ネットワークの内容の測定)、親友の概念、さらに、全体的な適応をみるための調査(loneliness)をした。その結果、まず、Krappmannの方法で調べた結果は8年度の結果を支持した。すなわち、東京の子どもの「友だち」という言葉が示す範囲はベルリンの子どものそれよりも広かった。しかし、両群の子どもとも友だちを親しさの程度に応じて質的に区別し、この点では文化差はなかった。さらに、それぞれの子どもが持つ人間関係全体の中でみると、PARTで友だちが優勢な人間関係を持つと判定された子どもほどKrappmannの方法でも友だちを多くあげ、孤独感得点も低いという傾向を示した。ただし、このような関係がベルリンでも見られるかについては今後の検討が必要である。
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