1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の戦争体験の人生における意味と老年期の適応に関する研究
Project/Area Number |
07610154
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Seitoku University Junior College |
Principal Investigator |
長田 由起子 聖徳大学短期大学部, 講師 (70172781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 久雄 東京都立医療技術短期大学, 一般教養科, 助教授 (60150877)
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Keywords | ライフイベント / 太平洋戦争 / 回想 / 高齢者 / 自我統合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者が自己の戦争体験をどのように人生に位置づけているかを調べ、その捉え方と適応の関係を検討することであった。本年度は、高齢者を対象とした質問紙法による調査を行い、集団のデータ分析を行った。本調査を行うにあたって、事前に予備調査を行い、地域の高齢者における意識傾向の把握を試みた。予備調査からは、1.多くの高齢者が戦争体験を否定的体験としながらも、意義深い体験として自分の人生に位置づけていた。2.全体の7割は戦争を過去のものとし、なつかしく思い出す高齢者もいる一方で、戦争を過去の出来事として片づけられてはいない、あるいは「思い出さないようにしている」とする高齢者もいた。3.戦争に対する態度や考え方は、兵役経験の有無と関連していた、等の結果が得られた。これらの結果は、平成7年度における日本老年社会科学会第37回大会、および日本発達心理学会第7回大会で発表した。本調査では予備調査の結果を参考に、当時の状況(立場・戦争への参加など)、被害状況、戦争観、戦争体験の回想に関する意識、現在の適応状況(抑うつ状態・生活満足度)、第二次調査としての面接調査への諾否、を含む質問紙を作成した。現在のところ、236名からの回答が回収されているが、さらに250名程度の調査を、継続して行っている。現在得られている回答からは、ほとんどの者が「戦争を伝えることの意義」を自分に感じており、次年度の面接調査に対する呼びかけに対しても、5割近い者が調査協力に応じている。全体計な回答傾向は、コ-ホ-トに大きく影響されており、60代前半では戦争の幼少期の1体験としてとらえられる傾向にあるが、70代の対象者の回答には、戦争体験に大きな葛藤を感じていることが示されていた。本調査から得られた結果は、平成8年度日本心理学会第60回大会で報告の予定である。
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