1996 Fiscal Year Annual Research Report
サポート介入による個人の対処行動の変容過程に関する実戦的研究
Project/Area Number |
07610157
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松崎 学 山形大学, 教育学部, 助教授 (20132516)
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Keywords | 対処行動 / ソーシャル・サポート / ハ-ディネス / ストレス / PAC分析 / STEP |
Research Abstract |
平成7年度と同様に、7月末から8月はじめの1週間、何らかの問題を抱えた子どもたち(小学生)が、STEP (Systematic training for effective parenting)を用いてサポ-ティヴなかかわりをすることができるように訓練されたスタッフとともに過ごした。合宿経験を通して、自分が抱えている問題(ストレッサー)に対する認知的評価や対処行動がどのように変容するかを、特に内藤(1993a,1993b,1994,1997)によって考案されたPAC分析(Personal atitude construct)を用いて追跡検討した。 その結果、科研報告書に示したように、例えば、学校で授業中立ち歩いたり一方では火遊びなどの問題行動を示していた男児(小3)が、合宿の中ではいかにも叱られそうなことをして関心を引こうとするが、それには応じてもらえず場合によっては選択の余地が与えられて本人の行動は自分で選択することが求められる一方で、本児の求めるスキンシップは受容され、ともに活動を楽しんでもらえる中で、徐々に変化を見せ、合宿の終わり近くでの自由献立の活動では自発的に協調する姿が観察された。合宿後、母親の以来で学級担任とも話ができ、母親だけでなくクラス担任のかかわりの変化も、合宿で生じた変化の芽をさらに確実なものとして育ててくれた。 その他のケースでは、合宿後に「学校に行かない」と言いだした子ども(小5)は、母親が話を聞いていくと最終的には「どうしてお母さんは離婚したんだ、自分にはその話をきちんと聞かされていない」という問題に行き当たり、母親としても対応に苦慮している状態が見られる。別のケースでも同様の状況が見られ、それらは合宿経験を通して、それまで抑圧によって済ませていた問題に対して目を向けないで生きていくことができない状況をつくり出したように思われた。親が子どもをサポートすることができるように親に対するSTEPプログラムを実施したケースもあるが、上述のケースはそれができなかったケースである。科研報告書に掲載できなかったが、父親の死から3か月後に合宿に参加し、母親もSTEPプログラムに参加できたケースで子どもも母親もポジティブな変化を示しているケースもある。 問題の根深さによっては、かなり長期にわたる追跡研究が必要であることを実感している。
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