1995 Fiscal Year Annual Research Report
マスオ-ディエンス概念の再検討-多メディア化との関連で-
Project/Area Number |
07610164
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹下 俊郎 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (20163397)
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Keywords | 受け手研究 / マスメディア / ニューメディア / CATV / 多チャンネル化 / テレビ視聴 / 高度情報化 |
Research Abstract |
平成7年度は、平成8年度に予定されている調査に向けて、既存文献や調査報告の検討を中心に行なった。 1.マスメディアの受け手像はどう概念化されてきたか 欧米では1930〜40年代、日本では1950年代までのマスコミュニケーション研究では、大衆社会論の影響を受け、メディアの受け手を受動的、画一的、被操作的とみなす傾向があった。しかし、実証的受け手研究の発達はこうした受動的な受け手像を部分的にせよ修正し、受け手が持つ能動的な側面に焦点を合わせるようになった。この場合の能動性とは、メディアの影響力への抵抗性、メディア接触の意図性、選択性、メディアによる欲求充足やメディアからの効用の獲得などを含んだ多義的な概念である。関連する理論的枠組みとしては、限定効果説や「利用と満足」研究などを挙げることができよう。また、付け加えれば、最近のカルチュラルスタディーズのメディア研究も、受け手のメッセージ解読における能動性を強調している。他方、テレビ視聴行動に関する調査研究は、家庭という場におけるテレビ視聴が、多くの場合、非計画的で関与度の低いタイプの行動であることを指摘し、受け手の能動性の側面を過度に強調することに報告を発している。 2.受け手像変容の契機としての情報技術の発達 以上の基礎的な研究成果をふまえつつ、本研究がとくに注目するのは近年の情報技術の発達に伴う多メディア化・多チャンネル化の動向とそれが受け手の能動性に及ぼす影響である。ケーブル視聴に関する先行研究では、接触の意図性や選択性、接触中の関与度などが、従来のテレビ視聴と比べどう変わったかが問題とされている。さらに理論枠組みを整え、来年度の研究ではケーブルテレビ利用者を対象とした実証を試みたい。
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