1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・バブル期大都市における階層分極化に関する研究
Project/Area Number |
07610168
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
町村 敬志 一橋大学, 社会学部, 助教授 (00173774)
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Keywords | 社会階層 / 都市構造 / 外国人労働者 / 世界都市 / バブル経済 |
Research Abstract |
1980年代以降、東京を始めとする日本の大都市は、日本企業のグローバル化、都市再開発ブーム、産業構造の転換、外国人労働者の増加など、多くの変化を経験してきた。この期間は、1986年〜1990年のバブル経済期をはさんで、大きく3つの段階に分けられる。すなわち、バブル準備期(1980年〜1986年)、バブル経済期(1986〜1991年)、ポスト・バブル期(1991〜1995年)である。はたして、近年の都市変容、都市の社会階層をどう変容させたのか。またそれは、どのような要因に基づいているのか。本研究は、2)階層分極化仮説、2)専門職化仮説という二つの仮説をもとに、各種のマクロ・データを時系列的に収集・分析することによって、主に東京に関してこの問いを追究した。主な分析結果は以下の通りである。 (1)職業階層面では、専門職と労務職層の増加、生産工程職の減少が、全期間を通じて見られる。これに対して、事務職層は、バブル期にかけて急増したが、ポスト・バブル期にはむしろ減少に転じている。階層分極化傾向が部分的ながらここでは見られる。 (2)所得階層面では、バブル期にかけて大きく不平等が拡大し、ポスト・バブル期には逆に不平等が縮小した。こうした傾向は土地など資産面で一層顕著に見られる。 (3)外国人労働者は、バブル期の人手不足に対応する形で、郊外部の製造業と都心部の各種サービス業に導入された。ポスト・バブル期に入って新規の流入は相対的に減ったが、不安定就労化と地域移動が並行して進行している。 (4)以上をまとめると、階層変動の背景には、1)脱工業化効果、2)グローバル化効果、3)バブル効果という相対的に異なる3要因がある。東京の場合、階層分極化傾向は確かに見られるが、しかしそれはバブル効果の影響で非常に歪んだ形をとって現れている。
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