1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610169
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 康行 新潟大学, 人文学部, 助教授 (40170790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 アジオ 新潟大学, 人文学部, 教授 (60120862)
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Keywords | 沖縄 / 八重山 / 村落構造 / 移動 / 与那国島 / 久部良 / 社会史 / プラチック |
Research Abstract |
本研究は、沖縄の社会では「よそ者」をどのように受け入れているのかということ、およびシマ人の論理は何なのかということを課題として、与那国町をフィールドにして調査をおこなった。前者は、沖縄は開放的か閉鎖的かというこれまで指摘されてきた課題を、移住村である久部良と日本本土から移住してきたナイチャーがどのように地元に受け入れられているかという課題に設定し直して検討した。後者は、これまでの静態的な研究に代わるものとして、人々の主体性に注目することによって日常生活のなかから「実践感覚」をとらえ、沖縄社会を再考しようとしたものである。 調査の結果分かったことは、以下のとうりである。まず久部良はシマ全体の祭祀とその他の祭祀、および共同労働という三つの経路でシマ社会に組み込まれていた。そして、その組み込まれ方は、分担ないし補完と対立ないし競技を通して統合される形態を成していた。シマ人の論理にはイエの論理とシマの論理があった。選挙が家族・親族の絆によって左右されているのは、人々がイエの論理に拠っているからである。占拠のさいに大きく関与しているのは親族の絆であるが、それは言うなれば「身体化されている論理」であり、「実践感覚」なのである。そのイエの論理を詳細に検討すると、親族関係の性格の相違によって論理が違っていた。すなわち、姻戚関係における付き合いの論理と父方親族による名誉の論理、そして親族を結合させる利害の論理に分かれていた。 他方、シマの論理は石油備蓄基地建設反対運動を例にして明らかにした。反対運動を進めたおじいさんたちが共産党を組織して運動を展開したが、それは共産主義に賛同したからではなく、シマの論理で状況を構造化し直したからである。そうしたシマの論理は、祭りの最後に踊られるドゥンタに象徴的に示されている。ドゥンタは全員で最後に手をつないで踊るものであるが、その輪のなかに老若男女誰でも入っていける仕掛になっている。手をつなぐという身体を媒介にして、シマの論理がそれこそ身体化されているのである。
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