1995 Fiscal Year Annual Research Report
女性の政治参加活動が政治社会に対してもつ意味と可能性の実証的研究
Project/Area Number |
07610171
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 登 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50250395)
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Keywords | ジェンダー / 政治参加 |
Research Abstract |
本研究は地方都市、農村部における女性の政治参画活動を対象とし、基礎調査として新潟県下の全女性議員調査、地方都市において都市型市民運動としての「代理人運動」が展開されている岩手県水沢市、長野県下諏訪町等の事例調査を通じて女性に政治参画の現状と可能性について、多面的に把握することを目的としている。 1.新潟県の全女性地方議員(95年9月30日現在数:49人)を対象にして、属性、ライフコース、活動経験、議員に選出される経緯、議員活動の内容・成果、活動に対する障害等といった項目に関しての聴き取り調査を実施し、現在までに30人の調査を終えている。 対象数の約6割の段階で地方における女性の政治参画の現状について何らかの断定をすることは差し控えたいが、少なくとも以下の特徴は指摘することはできる。 (1)議員のなる以前に活動経験としては教育・福祉・環境保護・消費といった「生活領域」での活動経験が多く、またその活動が議員へのステップとなっている。 (2)また、議員活動の成果として挙げられているものも、ゴミ問題、教育・保育問題、高齢者福祉問題といった「生活領域」集中しており、従来議会の中で軽視されたきた「日常生活の視点」を議会で明示化している。 しかし、この活動領域の固定化が議会活動の「性別役割分業」をもたらす恐れがあることも指摘しなければならないだろう。 2.岩手県水沢市、長野県諏訪地区に関しては「代理人運動」に焦点を絞って、「代理人」としての議員本人並びにこの運動の主力メンバーに対する聴き取り調査を行っており、地縁・血縁の極めて強く依然として「男性社会」の色合いの濃い地方都市で、女性を主体とする「市民型」運動が一定程度の浸透を見ている現状をもたらす要因群を検討中である。
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