1996 Fiscal Year Annual Research Report
女性の政治参加活動が政治社会に対してもつ意味と可能性の実証的研究
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07610171
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 登 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50250395)
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Keywords | ジェンダー / 女性地方議員 / 政治参画 |
Research Abstract |
今年度は引き続き新潟県女性地方議員への聴き取り調査を行い、地方女性議員の実態を把握するとともに、その可能性を検討し、以下の点が明らかになった。まず、その特徴であるが、彼女たちは、1期目ないし2期目が多く両者で約7割に達し、女性の議会進出が漸く90年代に入ってから進んできたことを示している。当選年齢は40代から50代で、ライフステージIII期以降が多い。子どもが就学期を迎え一定程度の育児役割を終えないと議員として立候補しにくい状況が窺える。また地元出身率が高く、とりわけ町村部でその傾向が強いことも特徴的であり、議員当選に地縁・血縁関係が強く働くという地方男性議員と同様の特徴が明らかになった。社会参加活動経験としては多領域への活動経験があり、PTAの役員活動、婦人会活動、政治活動(政党活動)等への参加がその上位を占めている。議員輩出ルートとしては、共産党、公明党等の政党組織によるものと、地域の既存集団からの輩出が多い。特に、前者が最も多く、今後女性の政治参画を促進していくには、既存政党の対応が極めて重要であることが窺える。また他方で「地域婦人会活動」「町内会・自治会の役員活動」といった地域密着型の既存集団での活動経験も無視できない。他方、大都市部において80年代以降女性地方議員の特徴として指摘される市民活動からの輩出パターンは少ないが、同県においても約2割がそれに該当し、その可能性は無視できないと思われる。政治参画促進の方策としては制度的条件の整備(有効な法的整備-女性が社会参加しやすい社会全体のサポート体制、)、自治体施策によるバックアップの必要性が指摘できる。 他方で、大都市型の典型的事例と考えられる生活クラブ生協等による「代理人:運動が地方都市においてもつ可能性を探るために、岩手県水沢市の活動事例を継続的にフォローし、地域規模に拘わらず同運動の持つ「政治の生活化」の可能性を検証した。
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