1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610173
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鵜飼 照喜 信州大学, 教育学部, 教授 (80045161)
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Keywords | 環境問題 / 地域開発 / リゾート開発 / 自然保護運動 / 廃棄物処理場問題 / 地域紛争 / 高速交通網 / 過疎問題 |
Research Abstract |
本研究の初年度として,主として長野県と沖縄県の農村部の環境問題の概要を把握するために両県内各地で聞き取り調査を行った。両県農村部にはそれぞれ,次のような環境問題があることが明らかにされた。 1.長野県農村部の環境問題. (1)1998年冬季オリンピックの開催のため,会場地となる県北部の各地で道路建設や会場設営による環境破壊が懸念され,小規模な自然保護運動が各地に散在することが明らかにされた。 (2)また,同オリンピック開催に必要とされる高速交通網の建設に関しても,自然破壊が懸念され会場地周辺でも同様の自然保護運動が見られる。 (3)同オリンピック開催に必要とされる高速交通網の建設が進み,既に部分的に利用されている。その中で環境問題に関して重視される点が明らかになった。それは高速道路を利用して,首都圏や関西方面から廃棄物が持ち込まれ,廃棄物処理場が建設されようとしている県内各地で少なからず地域紛争を引き起こしているという問題である。この問題は単に環境問題であるばかりでなく,廃棄物処理場の建設を受け入れようとする地方自治体の過疎問題であることが重要である。 2.沖縄県農村部の環境問題. 本研究では,沖縄県内で既にマリンリゾートの先進地域として,沖縄観光の中心的位置をしめている同県中部にある恩納村の環境問題の概要を明らかにし,次のような問題があることが明らかになった。 (1)大型リゾート施設が農村集落のごく近くに建設され,住民の住環境が悪化している。 (2)大型リゾート施設の建設予定地として観光資本に買収された用地が,いわゆるバブル経済崩壊によって建設が着工されずに放置され,特別土地保有税が課税されていること,さらにその税の滞納が見られ,同村の財政に少なからず影響を与えている。 (3)同村内にあった米軍施設が昨年12月に返還された。同地の地権者は村当局を仲介者として,大手観光資本による観光開発を期待しているが,今日の不況下で地権者の期待するような開発計画が進んでいない。
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