1996 Fiscal Year Annual Research Report
名古屋市における都市定住化政策と地域社会構造の実証的研究
Project/Area Number |
07610175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 康 名古屋大学, 文学部, 助教授 (80173920)
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Keywords | 都市社会システム / パーソナル・ネットワーク / 社会地区分析 |
Research Abstract |
1.名古屋市の都市定住化政策の展開については、昨年度の段階でほぼその概要が明らかとなったが、本年度は、その背景となっている都市社会構造の時系列的な変化を確定するため、従来の因子生態学的な分析の枠組みを越えて、人口学的・社会経済的マクロ指標の絶対的な水準変動を学区別に検討し、その時系列的な推移を明らかにした。その結果、都市社会システムの成熟と再生産が現実的な課題となっていると総括することができ、さらにそうした課題に対応する政策体系として、都市定住政策、都市魅力の向上、新産業の育成という3つの相互連関的な政策体系が求められているとの認識に達した。 2.最終年度に向けて残された研究課題は、都市社会システムのもう一つの側面である社会的連帯構造を、住民のパーソナルネットワークの分析によって解明することである。そのため昨年度実施した質問紙調査2301ケースのデータ・クリーニングをほぼ終了し、現在その予備的な分析の段階に入っている。解答者の地域別の属性分析から、調査サンプルは、ほぼ各地点の地域特性を反映していること、ブルーカラー層の回答率が低く、データに断層的なバイアスがかかっていることなどを確認した。また、住民のパーソナルネットワークの規模は、地域によりかなり異なっているが、それは地域の社会構成(住民属性)の相違によるところが大きく、地域特性そのものによる生態学的効果は限られたものであることが明らかになりつつある。しかし、それにもかかわらず住民属性とネットワークの規模との関連は、地域により異なっている。次年度は、このように錯綜している要因連関を分析的に解明し、そこから都市の社会的連帯構造に関する理論的含意を引き出すことが課題となる。
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Research Products
(2 results)