1995 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人の「問題行動」と社会環境要因のかかわりについての研究
Project/Area Number |
07610180
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石倉 康次 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40253033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 章 佛教大学, 社会学部, 助教授
|
Keywords | 痴呆老人 / アルツハイマー |
Research Abstract |
1.平成7年度においては、まず、痴呆性および痴呆性老人の介護に関する内外の研究成果をフォローすることを行った。アメリカにおいて、われわれのようなコミュニケーション関係に着目した研究が少数ではあるがあることがわかった。また、わが国においては80年頃までは一部の先覚者による痴呆性老人介護と医療への模索の段階から、80年代に入って厚生省サイドでも痴呆性老人問題が意識的に取り上げられるようになった。しかしこの時点では主に医学的もしくは治療的関心が中心であった。90年代に入って痴呆老人への介護についての注目が集まりつつあることがわたった。 2.在宅介護者の介護記録の集約をおこなった。この本格的な分析は現在進行中であるが、今の段階では介護者の側の痴呆についての認識と対応方法が当初は、医師の指導による身体的な介護と観察が中心であるが、介護の時間的経過とともに介護者家族の会の情報も得て、生活面の介護から、さらには痴呆老人とのコミュニケーションのあり方について徐々に自覚化され改善されていく過程が明らかとなりつつある。 3.痴呆性老人に対する生活援助のあり方と、リハビリ的治療のあり方について、特別養護老人ホームと精神科デイ・ケアの先進事例の検討を行った。特別養護老人ホームの事例では、痴呆の受容は単に痴呆老人の病気を受け入れることではあるが、痴呆による幻影の世界を全面的に受け入れることではないという点が着目して深めるべきこととして浮かび上がってきている。また、精神科デイケアの事例では、痴呆老人には病識があるだけではなく、自らの痴呆について不安に苦しみ、家族の対応の変化に戸惑っていることがわかった。 4.当該の問題を把握するための現象学的なアプローチについても検討を深めつつある。
|