1995 Fiscal Year Annual Research Report
社会階層分析にもとづく住民の地域社会参加度の地域間比較研究
Project/Area Number |
07610189
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
文屋 俊子 福岡県立大学, 人間社会学部, 助教授 (20254641)
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Keywords | 階層構造 / 地域社会 / 住民活動 / コミュニティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域社会における住民の階層的差異が、地域の住民活動への参加や地域の問題への関心のあり方にどのように相関しているかを明らかとすることである。 平成7年度においては、福岡県の山田市、田川市、佐賀県鳥栖市においてヒアリング調査を実施し、狭域の地域の住民の階層性のあり方、地域社会の問題として捉えられる具体的な問題について、住民の関心のあり方、取り組みをさぐった。また、前年度に実施した福岡県宮田町、大分県別府市の事例も視野にいれながら、地域間比較の視点から、複数の地域問題を検討した。 山田市、田川市、宮田町は、旧産炭地に共通の問題をかかえているが、住民階層の異質性がもっとも高いと思われるのは田川市である。住民生活の利便施設整備のための公共事業やその他の自治体の事業についても、住民の関心に、顕著な階層的差異が認められる。山田市、宮田町を含め、階層構造の少なくとも意識面の差異が、地域内での住民の分離や地域参加の程度、地域内での問題関心に大きな影響を与え、コミュニティにアノミー状況を生み出していると同時に、住民間に独特の連帯感やサポートのあり方を現出している。 また、鳥栖市では、交通の要衝にあって変化する地域のなかで、別府市では、共同温泉の地域運営を核に活動してきた住民組織と生活の変化のなかで、それぞれ住民自身によって不断に再定義されてきたグループ分けが、地域社会への参加・関心の差異を説明するのが観察される。 以上のような地域実査と併行して、関係図書・資料の収集を行い、研究のフレームワークに適合する次年度調査を計画した。
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