1995 Fiscal Year Annual Research Report
高度大衆社会状況におけるライフスタイルに関する研究
Project/Area Number |
07610207
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
田村 雅夫 椙山女学園大学, 人間関係学部, 助教授 (40247606)
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Keywords | ライフスタイル |
Research Abstract |
当初の研究計画では本年度の目標はライフスタイルに関する文献資料等の収集・検討とその成果を踏まえてのライフスタイル概念を中核とする説明図式の骨格を構築することであった。ライフスタイルに関する資料の収集・検討については現在のところ基本的には四つの研究領域について進めている。まずその第一は消費行動を説明する要因としてライフスタイルを重視するマーケティング・リサーチの領域であり、第二は労働態度を組織化する要因としてライフスタイルを問題にする労働態度の研究領域であり、第三は投票行動や政党支持を規定する要因としてライフスタイルに注目する政治行動・政治意識の研究領域であり、第四は地域への関与形態を規定する要因としてライフスタイルに注目する地域社会の研究領域である。検討のポイントとしてはライフスタイル概念の定義や構成方法、概念構成における価値意識の位置付け、集団的・階層的要素の位置付け、行為論的アプローチとの関連、大衆社会論的視角からの再規定の可能性などを設定した。これらの検討の結果を踏まえて高度成長期を経て大きく変動した日本社会における人々の在り様をできるかぎり統合的に分析し説明しうるライフスタイル概念を中核とした新たな統合的説明図式構築の可能性を探ることが当初の目標であったが、現段階では各ポイントの比較検討の段階にとどまっている。ただ、これまでの研究経過の中でライフスタイル研究における問題構成の統合的枠組みについて明確になった点を一点だけ指摘しておくと、従来の多様なライフスタイル研究はいわば価値選択的行動図式に依拠する流れと社会構造論的ないし社会システム論的パースペクティブを組込む指向性をもつ流れに分けることができるがそれらに共通するキ-概念は価値意識ないし価値観であること、それゆえ統合的枠組みはまずこの価値意識の理論的位置付けを明確にする作業の中から構築されねばならないこと、である。
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