1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
片桐 新自 関西大学, 社会学部, 教授 (20161060)
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Keywords | 価値観 / 若者 / 大人 |
Research Abstract |
平成7年度から始まった本研究は、まず研究書等を点検・整理して、価値観形成の重要な段階として、従来、以下のような4つの時期区分が注目されてきたことを見い出した。1両親--特に母親--の影響力が圧倒的に強い幼児期。2.兄弟関係やピア・グループとしての友人関係やテレビからの影響力が無視できない児童期。3.異性や勉学が影響する思春期。4.肉体的には大人になっているが、精神的には依存心の強い若者期。しかし、価値観は常に変化しているものであり、若者期以降の価値観の変化にも考慮がもっと払われなければならない。そうした観点から、平成7年度には、大学を卒業してから4〜7年経った20歳代後半から30歳代はじめの人々を対象にアンケート調査を行い、この世代が、「子ども-若者」型価値観から「親-大人」型価値観への転換の世代であることを明らかにした。 これに引き続いて本年度は、昭和1桁生まれで現在ほぼ60歳代になっている女性たちに聞き取り調査を行った。この調査は、戦時期に青春時代を過ごし、戦後結婚し、高度経済成長による暮らしの変化を経験し、近年の女性の社会進出に伴う意識の変化も目の当たりにしてきたこの世代の女性たちこそ、価値観の変化をもっとも端的に語れる人々なのではないかという考えから企画された。この調査は現在もなお続行中であるが、中間段階である現段階において言えることは、この世代の女性たちの価値観は確かに変化してきたが、それはこちらが予想したほどにドラスティックなものではなく、連続的なものであるということである。調査対象者になっていただいた人々は一様に、自分たちの価値観がどこかの段階でがらりと変わったという認識は持っていなかった。いずれにしろこの調査は今後も引き続き行っていく予定である。
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