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1996 Fiscal Year Annual Research Report

欧米胎教論史に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 07610242
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

寺さき 弘昭  東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (60163911)

Keywords胎教 / 西洋教育史 / 母 / 養生
Research Abstract

2年間の研究の実績は、概要以下のようにまとめられる。
(1)先行研究およびBritish Library Catalogue・Wellcome Institute医学史図書館蔵書目録の系統的検索の結果、ヨーロッパ胎教論に関するほぼ完璧なリストを作成した。
(2)当初予想していたとおり、16-17世紀イギリスのThomas Raynaldの産婆術書・Wiliam Gougeの家政書・Thomas Tryonの教育論に胎教論が見出されたのはもちろんだが、さらに産婆術書の古典たるSornusの産婆術書の中にも胎教論とみなされ得る妊婦養生論が大量に含まれていることが判明した。
(3)これらを中心に、他にヒポクラテス文書・James Guillimeauの産婆術書・Nicholas Culpeperの産婆術書などを含め、当初計画どおりヨーロッパ胎教論エクストをアンソロジーとして集成した。
(4)このリストおよびアンソロジー作成により、これまでともすれば西洋教育思想史研究において看過されてきた胎教論の系譜が、ヨーロッパにおいても顕著に認められることが明らかとなった。
(5)同時に、目録検索のプロセスにおいて、18世紀初頭のイギリスで胎児に対する母親の想像力の影響に関する論争が成されていたことが明らかとなった。
(6)この論争は、胎教論の歴史的変容を捉えるうえでその画期となる重要なものである。というのも、17世紀以前の妊婦養生論が妊婦の想像力(imagination)が胎児に影響力を有するという把握を前提とすることを顕著な特色としていたのに対し、その後そうした特色が喪われていくというのが一つの歴史的傾向として指摘され得るからである。
(7)上記(3)で言及したアンソロジーを主体にして、その詳細な解説と分析、および近代ポリス論とりわけ18世紀末ドイツの医療ポリツァイにおける〈産育〉の位置づけに関する分析、から成る報告書を刊行した。

URL: 

Published: 1999-03-08   Modified: 2016-04-21  

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