1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610243
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
水谷 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70014694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 吉邦 国立特殊教育総合研究所, 分室, 主任研究官 (00132720)
竹形 理佳 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (30262223)
太田 昌孝 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00010281)
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Keywords | 思考過程 / 課題遂行 / 脳波動態 / アルファ波 / 脳波解析 / MEMパワ・スペクトル |
Research Abstract |
1.思考活動の動態把握に適した思考課題の設計:前年度の健常児・発達障害児に適合する実験用思考課題の検討をベースに、新たに健常成人の思考特性と脳波動態の追跡に適した実験用思考課題を作成した。 2.思考活動時の脳波データ処理システムの構築:(1)新たなデータ解析法としてMEMスペクトル時系列の逐次シフト法を導入し、その解析ソフトウエアを自己開発した。(2)リム-バブル・ハードディスクの導入により、データ処理システムでのデータの流れを高速化、効率化した。 3.思考活動時の脳波動態の解析:成人被験者用に新たに設計された思考課題と、改良されたハードウエアおよびソフトウエアによるデータ処理システムを稼働し、思考課題遂行時の脳波動態を解析した。 (1)6例の健常成人(19〜23歳)で、暗算、漢字字画のイメージカウント、文字の空間配置のイメージカウントの3種類の思考課題の遂行時に脳波を左右の頭頂部から導出記録し、その動態をMEMスペクトルのアルファ帯域ピーク周波数(PF)とアルファ帯域パワ(PW)の時系列によって検討した。 (2)課題呈示前-呈示-回答-回答後という遂行過程に連動してPFとPWの課題関連性変動(TRC)が生じる。 (3)PFとPWのTRCは時間経過が若干異なり、課題呈示時はPFがPWにやや先行、回答時は逆の傾向がある。 (4)TRCには若干左右差があり、右側が左側より不明瞭な傾向がある。 (5)課題の種類によってTRCの性状に若干の違いがあり、(1)暗算課題は個体差が比較的少なく、(2)暗算課題では、TRCは課題開始時、回答開始時ともに他の課題よりやや遅れて経過する。 (6)以上は先の児童例での予備的検討結果と概ね同様で、一般性があることが確認され、思考時の中枢過程の特性はMEMスペクトル時系列解析法により、秒単位で追跡可能であることが明らかになった。
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